精米歩合50%の、純米大吟醸で、
いまの時期、冷やして飲めば、この上なく旨い。
「東光」は山形県米沢市にある、
慶長2年(1597年)創業の米沢藩上杉家御用酒屋・小嶋総本店のブランドで、
400年以上の伝統を守ってきたのだそうな。
純米大吟醸となると、結構フルーティな味わいのものも多いけれど、
これはそういうところのない、
筋が通っているというか、硬派というか、
真っ直ぐに辛口を追求したらこうなったという、説得力がある。
あっさりした料理を食べるときに、
冷えた白ワインと、冷えた日本酒、どちらも甲乙つけがたいが、
一番の違いは、ワインは概して自己主張が強い「俺に付いて来い」タイプなのに対し、
良質な日本酒には、奥ゆかしさというか謙虚さがあって、
どんな料理と合わせても、微妙に味わいを変えてくれるところ。
この「東光」は、そんな日本酒の特徴が良く出ていると思っていて、
繊細というか女性らしいというか、
ワインをヴァイオリン族の楽器に例えるならば、
こちらはやはり三味線で、
倍音の感覚が、微妙に心地よいのである。
(分かりづらいたとえかもしれませんが・・・)
そういえば、モーツァルトを聴かせたワインは旨いとか何とか言われるけれど、
三味線を聴かせた日本酒ってのは、どうだろう。
邦楽器の倍音というのは、絶対いろいろな効果があると思うんだけどね。
この夏は、倍音を浴びながら日本酒を飲んでみてはいかが。