津軽三味線の新しい撥が届いた。
今回は、初めてのオーダーメイドで、
価格も当然、今までの中で一番高い。
といっても、西洋楽器と比べると、相場感は、
数分の1から10分の1ぐらいで、
これは、そもそも三味線は消耗品であるという前提がある。
ひっきりなしに糸は切れるわ、皮は破れるわ、
棹がすり減ったら削らなくてはならないわ、
「もったいない」思想からくる消耗品文化で、
ある意味、西洋家屋と日本家屋の違いにも近いかもしれない。
さて、撥の話に戻ると、
持ち手部分は紫檀。メイン部分はもちろん鼈甲。
モノの良し悪しはこの鼈甲部分にかかっていて、
よい鼈甲というのは、厚みはあっても十分にしなる。
もちろん物理的に厚みを薄くして、しなりを出すことは可能なのだが、
そうすると音までがペチャペチャになってしまい、
満足のいく音が出せなくなってしまう。
厚いママで、しなりのある鼈甲というのが良いモノであって、
今回、ようやくその理想に出会えたというカンジかな。
ただ、才尻(根元)にかけてが若干細くなっていたため、
そこは和紙を巻いて補強した。
(撥に和紙を巻くというのは、義太夫三味線を習っていたときの発想から。)
自分の体に100%fitする道具というのはなかなか難しいので、
ところどころでは、このようなカスタマイズが、どうしても必要になる。
自分の誕生日に届いたというのも何かの縁だろうから、
この先、存分に使おうと思う。