「TO PIMP A BUTTERFLY」(KENDRICK LAMAR)

 

まずは、謝らないといけないかもしれない。

この間のグラミー賞のとき、白人の音楽以外は一通り聴いたつもりなのだけど、
ケンドリック・ラマーの素晴らしさに気付けなかった。
これは、不覚。

とはいえ、まったくアンテナに引っかからなかったわけではなく、
気にはなっていたので、一応このアルバムを買って、
毎晩聴いていたわけさ。

うむ、グラミー5部門受賞は伊達じゃない。

聴けば聴くほど味が出るこの感覚は、
20年ぐらい前(?)にコモンのアルバムを聴いたときと、カブる。

リリックも素晴らしいのだろうけど、
残念ながら英語がニガテなおっさんにはよく分からない。

でもサウンドとアイデアの素晴らしさは、
自分なりにそこそこ理解できているつもりで、
その上での、最高評価。

最後の「MORTAL MAN」で、2Pacのインタヴューをサンプリングしているというのも驚きだし、
「These Walls」とか「U」とか、「i」とか、いいね。

アルバム冒頭の「Every Nigger is a Star~♪」が、強烈なインパクトで、
でもって、最後が2Pacという、作品としての構成も文句なし。

サウンドとかストーリーメイクの自由さみたいなところが、
やはりHipHopの魅力であり、面白さで、
その上に、メッセージ性の強いリリックが乗ってくるわけだから、
いまさらだけど、実はすごく高度なんですよ、HipHopって。

同じブラックミュージックでありながら、
リリックを捨てたテクノと、リリックに頼るR&Bというのが両極にあって、
その狭間で、どちらに媚を売ることなく居座るというか、
さりげなく両立させてしまうHipHopの奥深さを、
あらためて実感させてくれた一枚だった。