1957年に初版だから、もう60年も前の本になる。
なので、その当時に「現在」といっている音楽事情と、
「2018年現在」の音楽事情は全くといっていいほど異なってはいるが、
今読んでも十分に通用する本ではある。
20世紀の音楽(厳密には、20世紀の「クラシック音楽」)といっても、
ウェーベルンとプロコフィエフを比べれば分かるように、
形式も内容も、まるでバラバラである。
それを、
「演奏家の視点」「作曲家の視点」「聴く側の視点」
の三方向からそれぞれ語り、
20世紀の音楽の特徴や、それ以前の音楽との違い、
そして今後どうなっていくのか、を分かり易く記述している。
「分かり易く」とは書いたものの、
部分部分をとれば確かに分かり易いのであるが、
本全体としてみると、まるで講演をそのまま筆録したかのような、
論旨の曖昧さというか、読み手が迷子になりそうな不安定さはある。
けれどその点を差し引いたとしても、
「現代クラシックの入門書」としては、手軽に楽しめるものだと思う。
特に、音楽とそれを受け止める市場の関係を考えるに際しては、
ぜひ一読をオススメしたい。