ヌードがわかれば美術がわかるとは思わないが、
美術がわかるためにはヌードがわかることは、たぶん必須なのかな。
要するに、彫刻や絵画に、ヌードの名作はあまりに多い。
ルノワールにせよマネにせよ、
今日、我々はヌード画を当たり前のように目にするが、
ヌードが芸術となったのは果たしていつからなのか、
そしてそれは人々にどのように享受されてきたのか、
ということを中心に述べた本である。
同時に、著者は解剖の専門家でもあるので、
たとえば「肩」とは動物の中で人間だけが保有する部位であるとし、
モディリアーニの人物像に「肩」が欠落していることを、
解剖学的視点から興味深く語る。
また、ヌードモデルが様々な姿勢を取る際の、
筋肉や骨格についてのあれこれを、
詳細な図を交えながら、分かり易く述べている。
なるほど、こういう視点での美術鑑賞もあったか、
と思わせてくれる本。