ビル・ブライソン 著「人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか」(新潮社)
脳、皮膚、骨、心臓、目、
薬、医療、そして死。

ヒトの体をあらゆる方向から解説し、
最新の学説やインタビューを元に、
そのメカニズムと謎に迫る本。

一般向けの科学本に定評のある著者だけに、
この本も、読めば読むほど惹き込まれ、

そしてふと我に返ると、
これだけ医学や科学が進歩してもなお、

人間は自分の体について、
ほんの少ししか知らないということに、
驚かされる。

パンデミックについては、
確かに考えさせられることが多いけれども、

それがあろうとなかろうと、
我々の体は刻一刻と衰えているわけで、

体の衰えに備えるためには、
その機能や特徴について、
知る必要がある。

大袈裟にいえば、
少なくとも健康時においては、

自分の体にとっての最良の医者は、
自分自身であるべきだと思うのである。

専門書を探せばキリがないだろうが、
医学的な知識がなくても、

人体や医療について、
納得と驚きを与えてくれる、
良質な知的エンターテイメントだ。

この本を十代のときに読んでいたなら、
もしかしたら医学への道を、
志していたかもしれない。