映画「オーケストラ!」
2009年のフランス映画。

昔ながらのヨーロッパ喜劇、
といった感じで、

深さには欠けるけれども、
素直に楽しめる。

主人公のアンドレイは、
30年前に政治的な理由により、
「ボリショイ管弦楽団」の指揮者をクビになり、
今は劇場の清掃員となっていた。

ある日、支配人の部屋に届いた、
パリでのコンサート招聘のFAXを盗み見て、
大博打に出ることを思い付く。

それは、昔の仲間を集めて、
「ボリショイ管弦楽団」になりすまし、
自らの指揮で、パリで演奏すること。

パリの主催者を騙すことに成功し、
昔の楽団員も何とかかき集め、
無事パリに着いたまでは良かったが、

ニセ団員たちは飲んだくれて、
リハーサルにも来ず、
果たしてコンサートが行えるかどうかも、
危うい状況となってしまう。

アンドレイがパリに来たのには、
実は他にも目的があった。

プログラムの目玉である、
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のソリストとして、
若き奏者アンヌ=マリーを指名するのであるが、

実はそのアンヌ=マリーこそ、
30年前の事件と今を結びつける鍵であり、

自らのトラウマを解決するとともに、
空中分解寸前だった、
団員たちを団結させるために、
絶対に欠かせない奏者だったのだ。

誰もが不安しかない中、
リハもなしで遂にコンサートが始まるわけだが、
果たして結果は・・・。

クビになった団員たちが、
「ニセ・オーケストラ」としてパリで成功する、
というだけならば、
安直な映画になってしまっていたのだが、

そこに過去との因縁や、
その因縁をめぐるソリストを含めた人間関係を、

重くなりすぎない程度の絶妙なバランスで、
うまく絡めているのが、
この映画の見所だろう。

「協奏曲」というネタを上手く使って、
指揮者とソリストとオケの関係を、
うまい具合にドラマにしたもんだと。

ラスト20分は丸々、
チャイコフスキーの協奏曲のシーンで、

クライマックスに、
これだけの緊張感と高揚感を持ってきたのも、
お見事。

そして何と言っても、
ソリスト役のメラニー・ロランが、
めっちゃ美人(ここ重要)で、

ヴァイオリンを弾く姿が、
なんとも絵になる。
(弾き方がぎこちないのは、、、仕方ない・・)

ひとつ不満?を挙げるならば、
劇中でアンヌ=マリーが、
過去のアンドレイ指揮のレコードを聴くシーン。

流れ的にチャイコフスキーにすればいいのに、
なぜか、マーラーの1番(「グーチョキパー」の第三楽章)で、
深い意味があるのかもしれんが、
そこはよく分からなかった。

適正価格(劇場換算):1,800円