M・R・オコナー 著「絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ」(ダイヤモンド社)
ハワイガラス、キタシロサイ、
リョコウバト、ネアンデルタール人etc.

絶滅に瀕している、
あるいは既に絶滅した種について、

それらを保護、
または蘇らせようという、
具体的な活動を詳細に紹介しつつ、

そのことの持つ、
科学的・倫理的意味について、
深く考察した本。

それにしても、
『絶滅できない動物たち』
というタイトルはよろしくない。

「絶滅できない動物」という日本語表現には、
「(本来は絶滅すべきなのに)絶滅できない」という、
反語的な意味が含まれているわけで、

確かに、本文中にも、

「国益よりも小さなカエルの、
絶滅を防ぐすることに、
果たして意味があるのか」

というような考え方を紹介しているものの、

それは、著者の意見ではなく、
あくまでも一般論としてあり得る、
という書かれ方をしている。

『Resurrection Science(復活の科学)』
という原題こそが、
まさに本書において肝要なのであって、

ヒトが原因で滅びゆく動物たちに対し、
我々はどう接するべきなのか、

そしてその究極にある、
滅んでしまった動物を、
現代技術によって「復活」させることは、
果たして正しいのか、

というのが、
この本のテーマなのであり、

帯に書かれた、
「いっそ、絶滅してしまった方が・・・」
という表現は、
ミスリーディングも甚だしい。

つまるところ、
人間のエゴも科学の力も、
必ずしも正しい道を進むとは限らないし、

むしろ進むべき道を、
あらためて考え直すべきだ、
というメッセージである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です