『響きの科学』で、
すっかりその面白さに魅了されてしまった、
ジョン・パウエルの最新作。
今回も前作同様、
音楽を科学することの楽しさと、
著者の軽妙な語り口とで、
一気に読めてしまうオススメの出来映えとなっている。
音楽をやっている人は分かると思うけれども、
時折言葉で説明しずらい、
非常に微妙で繊細な演奏上の問題に直面することがよくある。
それを「感性」とか「表現力」といった曖昧な言葉で逃げるのではなく、
論理的な理由を追い求めるところに、
この人の著作の面白さがある。
例えば、「なぜ短調は哀しく聴こえるのか?」について、
理路整然と説明できる音楽家はいるだろうか?
そしてタイトルにある「ドビュッシーはワインを美味にするか?」という問いは、
果たして正しいのか、否か。
ちょっとでも興味を持たれた方は、
ぜひこの本を手にすることをオススメしたい。
音楽(ジャンルを問わず)や絵画といった、
一般的には「感性」がモノを言う、といわれている分野こそ、
じつはロジカルなアプローチが必要であると、
個人的には常々考えているので、
こういう本はとても心強い。