バッハによるフーガと、
ベートーヴェンによるソナタ(シンフォニー含む)を、
譜例と共に具体的に取り上げ、
それらの違いと、
それぞれの素晴らしさを解説しているのだが、
20世紀初頭に書かれた、
大袈裟で冗長な表現のせいなのか、
それとも和訳がマズいのか、
とにかく、頭に入ってこない。
感情や感想を廃し、
音楽理論によって作品を評価する、
というのが著者の方針のようなのだが、
でもところどころで、
根拠なく特定の曲の特定のメロディを、
「劣っている」と断定したり、
その逆があったりと、
音楽理論というよりも、
著者の主観を押し付けられている気が、
どうしても強くなってしまう。
あと、全編に渡って、
音程(4度とか5度とか)を、
金科玉条のように扱っているのだけれども、
果たしてそれが正しいのかが疑問。
熱量はすごく伝わってくるけれども、
何を伝えたいのかが分かりづらい、
極めて難解な一冊であった。