観に行ってから、だいぶ時間が経ってしまった。
絵とか映画とか、観たものはすぐに書かないと感動が薄まる。
感動を記録するためにこのサイトを始めたのに、
これでは意味がない。
美術展のパターンには大きく分けて2つあって、
美術館で括るか、作家で括るか。
今回の「ボストン美術館展」は当然前者にあたるわけだけれども、
レンブラントから、マティス、ブラックまで、
あらゆる流派のあらゆる個性が次々に目に飛び込んでくるため、
集中力が散漫になるのを防ぐには、
相応の慣れと努力が必要となる。
そんな中で、あらためて感動させてくれたのは、モネ。
彼の魅力は、色彩だけではなく、
その奥行きにもあることを、初めて実感した。
もちろん(浮世絵の影響かどうかはともかく)、
人物や建物など特定の対象にスポットを当てた作品には、
奥行きが乏しいものもあるのだけれども、
彼の風景画で見せる、
色彩と陰とで分割された空間が表現するあの奥行きは、
マネにもルノワールにもない。
ありきたりの表現でいえば、
「風景の奥へ、吸い込まれそうになる」。
別に特殊な遠近法を用いているとか、
対象の形状や大きさに工夫を加えているというわけでもなく、
レイアウトと色の魔術によって、
観る側にこんな感覚を与えることができるのだから、
今更だけれども、やはりモネは、すごい。