久々の美術館、
久々の絵金。
高知県立美術館で、
「大絵金展」を観たのが、
2012年11月だったので、
もう13年も経つのか。
あのときは、
初めての「生絵金体験」だったので、
それこそ、
全身に鳥肌が立ったのを、
生々しく覚えているが、
あの時は30代、
今は既に50代、
ということもあり、
今回はそこまでの衝撃ではなかったものの、
やはり通常の絵画鑑賞とは、
全く次元の異なる、
エネルギーを感じることはできた。
屏風が角度を付けて、
立てられることで、
まるで実際に劇場で、
芝居を観ているかのような奥行きが、
生まれてくるように計算されており、
そこに芝居の名シーンを、
グロテスクなまでに誇張し、
否が応でも、
観る者に、
息を呑む緊迫感を、
押し付けてくる。
例えば、上に掲載した、
『伽羅先代萩 御殿』
では、
鶴千代が毒入り菓子を、
食べようとする、
まさにその瞬間、
今にも飛び出さんとする千松、
狼狽する政岡、
今かと待ち受ける栄御前、
・・・・
人物一人一人が、
今にも動き出しそうである。
奇しくも、
この絵の右端に見切れている、
「オーソドックスな屏風絵」
と比較してみれば、
あちらが「静」であるのに対し、
絵金は「動」、
それも、
とことん最大限の、
「動」である。
さらにそこに、
遠近法、構図、色彩、
等の効果もプラスされ、
しかも描かれる題材は、
どれも悲劇の場面だけに、
鑑賞者は、
荒浪のような「絵金体験」に、
攫われることになる。