鬼の散りぎわ ~文楽・竹本住大夫 最後の舞台~

そもそも「ETV」ってのが、NHK教育TVのことだって初めて知った。
(しかし我が家にはテレビがないので、ネットで視聴)

2年前に脳梗塞で倒れ、今年89歳で引退。
「鬼」と呼ばれた、人間国宝・竹本住大夫の、芸に対する姿勢を垣間見ることができる内容だった。

「死んでもあの世で稽古を続ける」
「芸は体に沁み込ませないと駄目。ああやろう、こうやろうと考えるようではいけない」

という言葉は、ジャンルを超えた普遍性で胸を打つものがあった。

それにしても、直弟子へ対しても、カルチャーセンターでの素人相手にしても、
厳しく怒鳴りながらの稽古スタイルは、
熱さを感じる一方で、余程の決意がないと、付いてゆける弟子も少ないだろうな、と思ってしまう(自分はムリだな、多分。。)。

最後の演目は、「菅原伝授手習鑑」の、桜丸切腹の段。

この作品における、寺子屋の段と並ぶクライマックスを語って引退というのは、
大夫冥利に尽きるというものであろう。

お疲れ様でございました。