「ラウル・デュフィ展―絵画とテキスタイル・デザイン」

「ラウル・デュフィ展―絵画とテキスタイル・デザイン」

歳を重ねると億劫になるわけではないが、
休日に、美術展のためだけに都心に出るのが、
どうも憚られる。

都心に出たついでにショッピングや食事でも、、
となるなら、それも良いかもしれないが、

生憎こちらは、休日ではないと出来ないことも色々あり、
ショッピングはネットで、食事は家で、何の問題もない。

特に六本木や汐留エリアは、
埼玉と隣接する我が住まいからは、東京の真逆、

行って帰ってくるだけで半日を消費するのは、
時間とコストに乏しいサラリーマンには痛手でもある。

幸か不幸か、勤め先が港区であるので、
まさにここぞと言わんばかりに午後休を取得し、

会社帰りに足を運ぶことにより、
効率の良く立ち回れて、めでたし、めでたし。

・・・さて、パナソニック汐留美術館は、
休日には何度か訪れたことはあるのだが、
平日は初めてで、

ビル全体を(おそらくパナソニック社の)ビジネスマンの方々が、
足早に通り過ぎる間を、

こちらは午後休の美術鑑賞です~みたいな顔をして、
通り抜けるのが、何とも場違いというか、

そもそもビジネス街のど真ん中にある美術館っていうのは、
やはり落ち着かないものなのだなぁ、と。

そう考えると、

上野の各美術館や、目黒の庭園美術館、恵比寿の写真美術館、
松涛美術館、国立新美術館・・・などなど、

駅を降りて、喧騒を抜けて、
心が落ち着いた頃に入館できるということは重要であり、

あらためて、美術館と立地という問題は、
考えてみる必要があるなと、痛感させられた。

前置きが長くなったが、
デュフィは僕の大好きな画家なひとりで、
このブログでも何度も紹介しているが、

今回の展覧会は、
絵画とテキスタイル(衣装などの模様・デザイン)を半々に紹介したもの。

僕がデュフィを好きな理由としては、

形を越えて、空間というか、そこに漂う空気に、
色彩を施すその手法、

彼が多く残した音楽を題材とした作品では、
空間に彩色することで、

そこで響いている音をも浮かび上がらせるかのような、
そんな不思議な魅力にある。

セザンヌを超えて、
とはいえマティスほどストイックでもなく、

それを知ってしまうとなかなか抜け出せない良さが、
デュフィにはある。

今回初見だった作品の一部を紹介しよう。

・「公式レセプション」
公式レセプション(デュフィ)
全体として華やかな中にも、
個々の人々の息遣いが感じられるような、
微妙な緊張感がある。

これが印象派の画家であれば、
もっと人物を精細に描き分けるのだろうけれど、
それをあえてしないのが、デュフィのスタイル。

人物ではなく、あくまでもその周りの空気を彩ることで、
思惑の飛び交う社交の場を描くことに成功している。

次の二つは、テキスタイル。

・「ヴァイオリン」
ヴァイオリン(デュフィ)
デュフィがこの楽器を愛し、
彼のいくつもの作品に登場していることは有名だが、

ここでは、ヴァイオリンを一旦色彩の中に溶解し、
デザインとして再構築するという、大胆な手法を用いている。

それぞれのヴァイオリンが、
それぞれの音を奏でているようで、

しかもそれが聴こえてくるかのような、
魅力を湛えた作品である。

・「ダンスホール」
「ダンスホール」(デュフィ)
これは完全に個人的な嗜好なのだが、
二色刷りというのが大好きで、
このミニマルな感覚の爽快さと、心地よさ。

まさにこんな絵柄のTシャツとかあったら着てみたい!
と思うのだけれども、

観る側にそう思わせることが、
テキスタイルとしては成功なのだろう。

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