野良三味線を決め込んでからというものは、

「津軽三味線小山貢民謡集」
「藤本琇丈民謡選集」

あとは、一曲ずつ売られている長唄の譜面(赤い表紙)が、
僕の師匠となっている。

その「津軽三味線小山貢民謡集」の、
第12集を最近買ったのだが、

そこに収められている「津軽あいや節」の手が、
なかなか凝っていて面白い。

津軽あいや節

「津軽あいや節」には、
「古調」(短調)と「正調」(長調)があり、

なぜかマイナーな「古調」の方は2通りの手を覚えているのだが、
「正調」の方はすっかり忘れていたため、
久々にレパートリーを増やそうかなと思いまして。

右側のページの一段め最後から三段めにかけて、
一の糸だけで高い音まで行ったり来たりするフレーズは、
じょんから新節などではよくあるのだけれど、
あいや節では珍しいのかもしれない。

唄が入ってからは当然大人しくなるのだが、
その分、前奏は割と自由なのが、
津軽らしいといえば津軽らしい。

ただ「あいや節」は、
西洋音楽にはない独特のリズム感を要求され、
2拍めが若干長い、

つまり、極端にいうならば、
4分の3拍子の、2拍めが符点4分音符となり、
最後が8分音符になる、というイメージで、

しかも歴然とした符点リズムではなく、
言うなれば、「溜め」。

そう、この2拍めの「溜め」を、
いかに表現できるかが、この曲の肝になっている。

気長にやっていこうと思う。