「ジョルジュ・ルオー展 内なる光を求めて」(@出光美術館)

画家がその晩年において、強烈なスタイルを身に着けるというのは、
たとえば、モネにおけるあの幽玄的ともいえる画風などであるが、

ルオーにおいてもそれは明らかで、
しばしば「溶岩が噴き出たような」と形容される、絵の具を塗り重ねた「厚塗り」、
目を閉じて指で撫でてみることを想像すると、その触感がリアルに指先で再現できそうな、
あのマチエールである。

もちろん触れることはできないのだが、
あたかも触れているかのように、ざらざらとした感覚が心に切り込まれてくるさまは、
もはや「視覚を刺激する絵画」という範疇を超えており、
観る者に強烈な印象を残すことになる。

ルオーにおけるもうひとつの特徴は、
今回の展示でもクローズアップされていた「信仰」の問題であり、

それは伝統的な西洋絵画のように、
聖書の一シーンを描写することで信仰を「客観化」する作業とは逆のベクトルの、

画家本人の信仰という「主観」に生命を吹き込んで形にすることが、
ルオーにおける創作のあり方だったのだろうと思わせる。

そして上記で述べた二つの強烈な個性が結実したのが、
この最晩年の「聖書の風景」。

「聖書の風景」(ルオー)

残念ながら、そのマチエールは画像では伝えられないのだが、
一度見たら、感覚に沁み込んで離れない、そんな一枚である。