酒井抱一
相変わらず、抱一の構成力と描画力には感嘆するしかない。

けれど今回は、日本画鑑賞の限界を感じてしまった。

自分でも認めたくないネガティブな内容なので、手短に。

西洋画と日本画の決定的な差は、
日本の高温多湿な気候ゆえに、
それと顔料の違いももちろんあるだろうが、
その保存状態がおそろしく違うということ。

西洋画はルネサンス期の絵画でも鮮明な色のまま現存するが、
日本画は江戸後期のものであっても、
大部分は色褪せてしまい、原色が分からない。

ここまで色を失ってしまうと、
アートとしてよりも、むしろ骨董品として鑑賞するのが適切なのではないか、
とも思えてしまう。

江戸時代に、交易品として多くの屏風等がオランダに渡っていったが、
それらの色が今でも美しいこと・・・

そんなことを考えながら会場を回っていたら、
反面、水墨画の美しさが際立って見えた。

もともと色を使っていないのだから、色を失うことはない。
そして見る側は、そこに自由に色を想像できる・・・。

若干シブいのかもしれないが、
これからは少し水墨画を追いかけてみようと思う。

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