ボストン美術館展 日本美術の至宝

日本美術の価値というものについて、
いろいろと考えさせられた展覧会ではあったが、
ネガディブなことは敢えて言うまい。

個人的な収穫は以下の通り。

・普賢延命菩薩像
・地蔵菩薩像(円慶)
・十六羅漢図(伊藤若冲)
そして、
・曾我蕭白のもろもろの屏風図

今更だが、若冲と蕭白という二人の天才がいなければ、
江戸の、いや日本の美術の魅力は大きく削がれることになるだろう。

若冲は「巧すぎる」嫌いがあるのだが、
蕭白の溢れ出るパッションとクリエイティビティは、
何物にも代えがたい。

かつては若冲も「奇抜」と目されていた時期もあったが、
今ではだいぶスタンダードになってきていると思う。

でも蕭白はいつまでたっても「奇抜」だと思うし、
何度見ても、その作品の世界に引きずり込まれてしまいそうな、
危険な魅力に満ちている。

江戸画家のもう1人の奇才といえば、
今回の展示とは関係ないが、長沢芦雪。

蕭白の「雲龍図」を目の前にしたとき、
まず思い浮かべたのが芦雪だった。

何枚もの襖に大きな動物を描くのは、
むしろ芦雪の専売特許といってもいい。

だが芦雪の動物がややマンネリ気味なのに対し、
蕭白の方はもっと「生々しい」。

特に「雲龍図」については、
顔の左に描かれた龍の大きな手と爪が、
まるで恐竜の骨格化石を見るかのような、
「ケモノ感」を醸し出している。

蕭白にとって、
こういう絵は決して得意ではなかっただろうと思うのだが、
それでもきちんと、いや必要以上に存在感を残すところが、
やはり天才の業である。

雲龍図

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