エルサ・パンチローリ 著「哺乳類前史 起源と進化をめぐる語られざる物語」(青土社)
哺乳類のルーツである単弓類や、
主に中生代における、
初期哺乳類について語った本。

そもそも哺乳類は、
「哺乳類型爬虫類」という、
爬虫類から進化し、

中生代においては、
恐竜の陰に隠れて、
ひっそりと脇役のように過ごしていた、

という一般的なイメージを、
明確に否定しつつ、

我々哺乳類の祖先が、
如何に堂々と、
古生代・中生代を生き抜いてきたか、

を具体的な化石事例等をもとに、
紹介している。

歯の構造から、
生物の生態を考察するなど、
どの話も説得力があり、

ともすると地味な感のある、
新生代以前の哺乳類についての、
理解を深めるには、
最適な一冊だろう。

これは難しい要望かもしれないが、
紹介されている哺乳類の祖先について、

言葉による描写でも、
十分に想像はできるのだが、

イラストが掲載されていると、
さらに良かった。

著者は女性なのだが、

古生物学の分野が、
主に白人男性によって、
牛耳られていた事実や、

インディ・ジョーンズのような、
発掘者のイメージが、
ステレオタイプとして、
世間に広まっていることを、

随所でさらっと否定しているのが、
なかなか痛快でもあった。

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