日本語に限らず、
文字と発音の関係は難しい。
「わたしは」の「は」は、
なぜ「ha」ではなく「wa」と読むのか、
50音図には、
なぜ所々に抜けがあるのか、
「行」には、
「こう」「ぎょう」「おこな(う)」「い(く)」
などの、
様々な読み方があるのはなぜか、
等々、
普段何気なく使っている日本語でも、
上記のようなことを聞かれて、
即答できる人は少ないだろう。
この本の副題である、
「『てふてふ』から『ちょうちょう』」
にしても、
よく知られた事実ながら、
なぜ「蝶々」の呼び方が、
そのように変化したのかを、
きちんと説明するのは難しい。
文字を持たずに、
苦し紛れに漢字を用いて、
日本語の音を記した昔も、
カタカナを用いて、
外来語を日本語で記す現代も、
我々の根底にある言語感覚(?)は、
変わっていないのかもしれない。
言葉ありき、なのではなく、
それを使う人がいて、
言葉が変わっていくのだから、
言葉の変遷史とは、
すなわち、
その裏にある生活の変遷史でもある。
そんなことを考えながら、
日本語の歴史を、
端的に学ぶことができる良書である。
ただし全く知識がない人には、
そこそこ難解な内容だとは思う。