市橋 伯一 著「増えるものたちの進化生物学」(ちくまプリマー新書)
「生物とは何か」という問いは、
単純なようで、
実は完全な回答が用意されてはいない。

ただ、
「自ら増える」という性質は、

生物であるための、
十分条件ではないものの、
必要条件にはなっている。

この本は、
「生物は増える」という観点から、

生物の生態や進化について、
解説しているわけだけれど、

生きる意義とはなにか、
なぜ生まれてきたのか、

といった、
倫理的(?)話題に振れがちなのが、
ちょっともどかしいというか、

これから学問を目指す、
若い人向けの本なんだろうな、
という印象。

「増える」ことについて語る以上、
性や性差といった話が、
頻繁に出てくるが、

ヒト以外の動物の、
性における戦略を思うに、

現代社会が、
ジェンダーレスだったり、
性の多様化に向かったりするのは、

ある意味、
生物としての必然なのか、
と思えてくる。

人間にとっては、
「増える」という本能に対して、
そのための社会的コストが、
大きすぎる気がしていて、

有性生殖だけではなく、
単性生殖、あるいは分裂することで、
増えられればいいのに、

思ったりしている。

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