藤原 晴彦 著「超遺伝子(スーパージーン)」(光文社新書)
複数の遺伝子が集まって、
擬態などの複雑な現象を引き起こすのが、
超遺伝子(スーパージーン)。

本書では特に、
一部の蝶の不思議な擬態を取り上げて、

そのメカニズムを、
詳細かつ分かりやすく説明している。

とある種類の蝶においては、
メスの一部のみが、

毒をもつ蝶そっくりに、
擬態をするという。

だが、
オスはまったく擬態しないし、
メスの一部も擬態しない。

不思議なのは、
擬態する個体としない個体がいて、

その中間状態の蝶が、
いないということだ。

これは喩えるならば、
身長170cmと150cmの人はいるけれど、

それ以外の身長の人はいない、
という状態に近い。

つまりそういう「特殊な状態」を、
毎世代に渡り、
完全かつ強固に伝えるのが、
スーパージーンである。

ではヒトには、
スーパージーンはないのかというと、

男性しか持たない「Y染色体」も、
ある種のスーパージーンと言えるという。

ということは、
ヒトにおいては女性がレギュラーであり、
男性は「特異な」存在ということか…。

ということで、
これはなかなか良い読書でした。

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