本・読書

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「日本的感性~触覚とずらしの構造~」(佐々木健一)

公私ともども、ぐちゃぐちゃな状態になっており(継続中)、久々の更新。 主に万葉集と二十一代集の和歌を読み解くことで、日本的感性をあぶり出そうというのが、この本の主題。 和歌論としては秀逸だと思うけど、それを「日本的感性」とまで敷衍できるかどうかは、ちょっと疑問。 和歌というのは、非常に限られた人種だけの為し事であり、かつその成熟のピーク期間は短い。 確かに他の芸術にくらべて、感性が流入している度合 […]

「百鬼夜行絵巻の謎」(小松和彦)

例えて言うなら、「この魚は刺身にしたら最高なのに、なんで天麩羅にしちゃうかね?」といった感じ。 要するに、「百鬼夜行絵巻」という最高の題材なのに、調理法を間違えたな、と。 印刷というものがなかった時代、書物や画は「模写」されるのが通常だった。 例えば源氏物語なんかは、分かりやすい。おそらく紫式部が書いたオリジナルというのはごく一部だったはずで、それを創作能力がある人が模写するたびに、サイドストーリ […]

「場末の酒場、ひとり飲み」(藤木TDC)

新書は、良い。 文庫本で古典を読んだり、ハードカバーでデザインや科学関連の本を読んだりするのも好きだけれど、やはり新書を片手に酒をちびちびやるのが、この上ない快楽だ。 と思ったら、「場末の酒場、ひとり飲み」なんて本を見つけた。 いきなり酒場の紹介から入るわけではなく、そもそも場末とは何かという考察から始まるあたり、なかなか礼儀正しい。 そして場末の誕生にもいくつかのパターンがあることに言及し、いよ […]

「『半七の見た江戸』~「江戸名所図会」でたどる半七捕物帳」

綺堂が、かの「シャーロックホームズ」 シリーズに触発されて「半七」シリーズを書いたことは有名だけれども、 ホームズ中に描かれたロンドンの風景の大部分が 今でもそのまま残っているのに対し、 半七が見であろう江戸の風景、そして地名でさえも、現在残っているものはほとんどない。 「半七」全編に登場する江戸の地名を、ひとつひとつ図絵で紹介し、解説を付したのこの本だ。 かつて「半七」を読んだときにはあまり気に […]

「江戸のことば」(岡本綺堂)

引き続き、綺堂を。 『江戸のことば』は「綺堂随筆集」とあるけれど、怪談も数話収められている。 「半七」と同じで、綺堂の怪談でどれが一番優れているか、あるいは怖いか、などと考えるのはあまり意味がなさそうに思う。 ただこの本に収められた「深川の老漁夫」は、コワい。 話しとしては特に捻りがあるわけではないのだけれど、謎の漁師と獺(かわうそ)との関係が、多くを語られていないだけに、異常さが際立っている。 […]

「江戸っ子の身の上」(岡本綺堂)

引き続き、綺堂を。 綺堂の随筆には動物がよく登場する。 動物といっても犬や猫のような愛玩動物ではなく、蜘蛛だの、蟹だの、キリギリスだの、、といった世間ではあまり注目されない存在を採り上げるあたり、まことに綺堂らしい。 大袈裟に言ってしまえば、アウトサイダーに対する愛情、となるのだろうか。 綺堂が怪談を得意としたのも、頷ける。 『満州の夏』という随筆に、蠍の話がある。 「蠍は敵に囲まれた時は自殺する […]

「アートディレクションの黄金比」

デザイナー関連の著作は、なぜか装幀が白い本が多い。 イヤな予感はしていたけれど、案の定つまらない本。 5ページで終了。 こういうインタビュー形式の本って(そもそも手抜きなんだけど)、インタビュアーと編集者にそれなりの能力がないと、読む方からすると、全然面白くなくなってしまう、という見本。 まぁ、取り上げられているデザイナーの生き方に余程興味があれば、また違うのかもしれないけれど、 そもそもデザイン […]

「センスのデザイン―クリエイターの感性と技術―」(大内エキオ)

デザイナーの出す著作は、なぜか装幀が白い本が多い。 デザインにおける「センス」とは何か、「センス」を身につけるにはどうすればよいか、というのがこの本の主旨なんだけれど、それは残念ながら、失敗。 トップクリエイター達のインタビュー集として読めば、それなりに楽しめる。 個人的な意見としては、「センス」なんてものはこの世に存在しないと思っていて、 「センスがない」というのは、「努力してません」「勉強して […]

「デザインと死」(黒川雅之)

デザイナーの出す著作は、なぜか装幀が白い本が多い。 「デザイン」と「死」の共通項を追求するという内容ではなく、建築家・デザイナー黒川雅之の、「デザイン」「死」「美術」といったことに対する、価値観の吐露である。 ここまで年配の方(失礼)の意見は、それが合っているとか合っていないとか、賛同できるとかできないとかのレベルではなく、聞くだけで価値があると思っている。 そんな僕は古い人間なのかもしれないが。 […]

「『怖い絵』で人間を読む」(中野京子)

この本は、間違いなく面白い。 別に見た目が「怖い絵」を紹介しているわけじゃない。 描く側・描かれる側に潜む、宿命やら愛憎劇といった、「人間の怖さ」を絵を通じて浮き彫りにするのが、この本の主題だ。 西洋画というのは、ある時期まではほとんどが肖像画、あるいは人間を描きこんだものがメインである。 だからこそ1枚1枚の絵には、人間特有の何かしらの感情が含まれているわけで、ただ見ただけでは分からない、人間の […]

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