肉体と精神を別物として扱い、
一方を一方に服従せしめるという意味において、
拷問とは、その是非はさておき、
極めてヒト的な行為であると思う。
この本で初めて知ったユニークな拷問に、
「不眠・ウォーキング」というのがある。
要するに、寝てはならぬ、
寝ないで歩き続けなければならぬ、という刑なわけで、
課す方にも根気が求められるが、
課せられた方も、これなら痛めつけられた方がマシ、
と思ったかどうかは分からない。
それにしても、中世に存在していた拷問の種類の多さを知ると、
よくもまぁ、ここまで残酷な想像力が働くもんだと驚かされる。
でもやはり、いろいろな拷問を用いるうちに淘汰され、
結局は自白の確率が高い「優秀な拷問」が残っていったのだろう。
世界史の陰の部分にスポットを当てた、
興味深い本だった。