ゼロ・グラビティ

何を隠そう、IMAXで映画を観たのは初めてかもしれない。

「gravity(重力)」というよりも、「慣性の法則」というタイトルの方がしっくりくる。

つまり、外からの力や摩擦がない限り、運動している物体は等速直線運動を続ける、
という、ニュートンの第一法則である。

宇宙には空気抵抗がないので、一度吹っ飛ぶと、宇宙の果てまで旅を続けることになる。

この映画は、そんな「慣性の法則」と、主人公のちょっとしたミスのために、
宇宙で大惨事が起こる、というお話。

内容自体は単純なんだけど、設定が斬新なので、それなりに楽しめる。
(ツッコミどころは満載だけど。)

今年の始めに観た、「地球、最後の男」ほどの強烈さはないが、
宇宙空間の孤独と恐怖について、なかなかうまく表現できていると思った。

この映画の見せ場は、ラストシーン。

主人公が、地球に帰還し、着水した湖から陸に這い上がり、苦しみながら立ち上がって歩き出す場面なのだけど、

これは水中で誕生した生命が、やがて陸上へと進出し、そして二足歩行を開始する、

という、生命進化の歴史を暗示しているようで、
これがこの映画に、深みを与えている。

キャストは、ほぼ二人。

ただ、ジョージ・クルーニーの貫録の演技に対して、
サンドラ・ブロックは表情のバリエーションに乏しいのが、どうしても目立ってしまう。

適正価格:2,500円(3D鑑賞価格)