謎の物体が宇宙からやってきて、
タコ型の爬虫類エイリアンがそこにはいる。
奴等の来た目的も分からない・・・。
こう書くと、「宇宙戦争」以来の、また陳腐なSFの焼き直しか、、
と思うかもしれないが、
そういう視点で鑑賞すると、おそらくこの映画は理解できないだろう。
これはSFというジャンルを借りた哲学的作品であり、
(Wikipediaによれば)原作の小説は、言語学や科学への深い洞察を交えた傑作らしいから、
さもありなん、という感じだ。
主人公の言語学者(女性)が、エイリアンと意思疎通を図ろうとするも、
当然ながらまったく言葉が通じない。
そこで、話し言葉がダメなら書き言葉でチャレンジしたところ、
タコのようなエイリアンの触手から墨のようなものが流れ出し、
神秘的な文字を描き出す。
原作によれば、二体のエイリアンはそれぞれ、
表意文字と表音文字(?)を操ることになっているらしいが、
映画では小難しいことはやや省略して、
まるで書道のような視覚文字にと置き換えた。
これは映像作品である映画ならではのものだろう。
子供や外国人に言葉を教えるように、
まずは概念から、そして単語、最後は文章へ、、と気の遠くなるような「教育」をした結果、
遂に主人公は、彼らの言語を理解するに至る。
種明かしをしてしまうが、
彼らの言語とは時制がないものであり、
その言語を覚えたものは、未来が見えるようになる、
つまり時間を「流れ」ではなく、「事象」として捉えられるようになるのであり、
そのような物の見方を人間ができるようにするのが、
彼らエイリアンの地球訪問の目的だと分かるようになる。
未来が見えるようになった主人公は、
今後の結婚、妊娠、離婚、そして娘の死、、という辛い現実に苦しまされるが、
エイリアンとの言語を通じた交流によって、
そのような人生を肯定的に受け入れるようになる。
過去、現在、未来のシーンが目まぐるしく入れ替わるのが特徴なのだが、
原作では、それぞれ時制を分けることで判断できるようになっているらしく、
それを映画では、あえてブツ切りのシーンを織り交ぜてくるために、
回想だと思ったら実は未来のことだったり、あるいはその逆だったりして、
そこが難解でもありミステリー要素でもあるのだけれど、
でも主人公の表情などをよく見れば分かるようになっているのが、
実に丁寧に作り込んだ作品だと感心させられる。
「クラウド・アトラス」や、「インターステラー」といった、
メッセージ性の強いSF作品が好きな人にはオススメ。
そうではなく「宇宙戦争」的なエイリアン映画を期待している人には、
ひどくがっかりさせられる作品だろう。
原作は「あなたの人生の物語」。
近々読んでみようと思う。
適正価格(劇場換算):4,000円
[…] 映画を観て、その原作を読みたいと思うことはほとんどないが、「メッセージ」だけは違った。 […]
[…] 「メッセージ」だとか、「パッセンジャー」だとか、 「パッセンジャー」だとか、似たような映画が多くて困るが、 […]
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