著者は本能について、
行動にかかわる組織や器官が、
経験に依存することなしに適切に発生し、
適切に機能して具現する行為
と定義する。
例えば、
蛹から羽化したばかりの蝶は、
誰に教わることもなく、
羽ばたくことができる。
そして「羽ばたく」という行為には、
様々な筋肉が力学的に機能している。
なぜ、それが可能なのか。
その答えである、
遺伝子の働きについて、
実験結果とともに、
本書は明瞭に提示している。
そして本能的な行動の代表は、
「殖える」ことと「食べる」ことであり、
その具体的な事例について、
豊富に紹介しているのも◎。
特に昆虫の世界については、
人間の常識を遥かに越えており、
驚嘆せざるを得ない。