何といっても、サー・リドリー・スコットの作品なので、
また「プロメテウス」のときのように騙されるのかと秘かに期待していたが、
今回、「アレ」は出てこないので、念のため。
NASAの火星探査チームが、任務中に大嵐に見舞われてしまい脱出をするが、
その際に、マット・デイモン扮する主人公がアクシデントに見舞われ、
火星に置き去りにされてしまう。
誰もが彼は死んだと思っていたが、実は生きていたことが分かり、
以降、映画の大部分は、火星でのサバイバルと救出劇で占められる。
ストーリーとしてはいたってシンプルなため(特に今回は「アレ」も出てこないので)、
要はいかに細部にこだわってリアリティを出すのか、というのがポイントになるわけだが、
そのあたりはさすがリドリー・スコットで、センスは抜群。
ただ、いくつかツッコミ処もあったので、そこを紹介しよう。
・ツッコミ処その1:
主人公は植物学者なのだが、わざわざ火星にいくのに、
そこで植生させるための実験用植物を持参していない、というのは不自然すぎる。
(結局、食用のイモを植えることで食糧の確保を行った)
・ツッコミ処その2:
マット・デイモンも、船長役のジェシカ・チャスティンも、
最近「インターステラ―」に出演しているわけだが、
今回の映画と割と内容が似ているので、混同してしまう。
(予告を観たときは、「インターステラー」の続編かと思ったぐらいである)
同じジャンルの映画に、続けて同じ役者を出演させるとは、
ハリウッドも遂に人材不足・・・?
・ツッコミ処その3:
原題は「The Martian」(火星の人)なのだが、
邦題の「オデッセイ」というのが、ちと分からない。
もしかしたらそこには、配給会社の叡智の結晶ともいうべき高尚な謎かけがあるのかもしれないが、
残念ながら自分には解明できていない。
・ツッコミ処その4:
マット・デイモンは悪い役者ではないと思うが、
学者タイプではない気が。
もうちょっと知的な雰囲気をもった役者は、いくらでもいたはずだが。。
まぁアラ探しはこのぐらいにしておこう。
要するに、「ミッション・トゥ・マーズ」と「ゼロ・グラビティ」と「月に囚われた男」を掛け合わせて、
三乗根をとったような作品で、正直、真新しさはないのだが、
火星でのサバイバルという、近未来にあり得そうな出来事を、
なるべくリアルに、ドキュメンタリー風に描いてみたという、
SF映画のジャンルの幅を拡張することに挑戦した、価値ある作品だと思う。
奇想天外な要素よりも、「あぁ、なるほどね」という感覚を楽しむ映画というか。
それにしても、中国の宇宙局(?)が突然登場するのに、
ものすごい違和感を感じたのだが・・・。
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[…] ほぼ同じような内容である、 これとか、これの方が、まだ楽しめるかもしれません。 […]