言語・文字・文法

1/7ページ

「古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。」(勝又 基)

2019年、明星大学において行われた、 古典肯定派、否定派2人ずつをパネリストに迎えての、 討論会を収録した本。 企画自体は興味深いが、 不満な点がいくつかある。 不満その1: そもそも、討論になっていない。 否定派は明確なロジックで意見を述べ、 回答を求めているのに対し、 肯定派は、論旨のずれた意見を開陳するだけで、 最初から最後まで、議論が噛み合わない。 不満その2: テーマが不明確。 (主に […]

「語源散策」(岩淵 悦太郎)

「語源」についてと、 「十二支」についての、 2種類のエッセイ風論考を収めている。 メインは「語源」の方なのだが、 さすがはあの『岩波国語辞典』の、 編者の一人でもある著者だけに、 特に古典文献の出典の紹介や、 そこからの用例や語形の変遷の推察など、 語り口は平易だけれども、 内容はそれほど軽くはない。 ただ、 降参する、という意味の「兜を脱ぐ」が、 同じく軍装である「シャッポを脱ぐ」に変わり、 […]

「日本国語大辞典 第二版」(小学館)

我が家では、 漢和辞典は『諸橋大漢和』と、 岩波の『漢語辞典』、 古語辞典にいたっては、 小学館の『古語大辞典』を含めて7冊もあるという、 盤石の布陣なのだが、 一方で、 国語辞典については心もとなく、 子どもの頃に親に買ってもらった、 『広辞苑 第三版』(昭和58年発行) があるだけだった。 そもそも国語辞典なんてものは、 所詮現代語の意味を調べるだけなので、 ネットで十分事足りる、 という考え […]

「かかりつけ」という語を考える

コロナ禍ということもあり、 「かかりつけ医に相談しましょう」 というフレーズをよく耳に(目に)するが、 そもそも、高齢か持病がある方以外で、 「かかりつけ医」がいる人は、 どれぐらいいるのだろう。 自分に関していえば、 体調不良で病院にいくことは、 せいぜい2~3年に一回ぐらいで、 それを「かかりつけ」と呼べるかといえば、 やはり違う。 また、緑内障予備軍のため、 半年ごとに眼科に通ってはいるが、 […]

ゾク議員

若かりし日に、 「ゾク議員」という言葉を初めて耳にしたとき、 咄嗟に思いついたのは、 「俗議員」という文字だった。 「低俗」はもちろんなのだが、 例えば「風俗」といえば、 エロ系の意味合いが強い(僕だけ?)ため、 「俗」という字には、 マイナス要素があるような感覚があり、 そこで、 「俗議員」という連想が働いたのだろう。 不甲斐ない政治家のニュースを見たときに、 そんなことを思い出したので、 あら […]

「翻訳百景」(越前 敏弥)

著者は大学の学部・学科の先輩で、 海外ミステリーの翻訳家として、 かなり有名な方らしいのだが、 僕がその方面に詳しくないために、 今まで存じ上げなかった。 翻訳といえば中学生の頃に、 上田敏の『海潮音』とか、 堀口大學の『月下の一群』とかに触れて、 場合によっては、 翻訳には創作以上の価値があることを、 何となく理解はしていたのだけれども、 この本を読んでみて、 あらためてそれを実感した。 翻訳と […]

両利き

ambidextrous という、見慣れない英単語に遭遇し、 意味を調べてみると、 「両利き」とのこと。 念の為、 オックスフォード英英辞典を引いてみると、 able to use the left hand or the right hand equally well とある。 「and」じゃなくて「or」なのか? というモヤモヤは残るものの、 まぁ、意味は分かった。 ただ、 こんなイカつい単語 […]

魚介? or 魚貝?

子供の頃、 初めて「ぎょかい」という言葉を聞いて、 それが「魚貝」ではなく、 「魚介」だということに疑問をもって以来、 特にそこには踏み込むことなく、 大人になったわけだが、 昨日(w)、近所の寿司屋の看板に、 「まぐろと魚貝のお店」と書かれているのを目にして、 「ん?魚介じゃないの?」 と思ったのを機に、調べてみることにした。 我が国が世界に誇る、 『諸橋大漢和辞典』にあたったところ、 「介」の […]

「称詞・枕詞・序詞の研究」(金子 武雄)

わが国における韻文の、 つまり文芸・文学の歴史を遡れば、 必ずこの、 「称詞・枕詞・序詞」の問題に直面する。 これらがどのようなものなのか、 そしてどのように生まれたのかを論じた書なのだが、 古い本(昭和52年初版)ということもあり、 残念ながら想定の範囲を超えた内容ではない。 というよりも、この分野の研究は、 下手すれば江戸時代から進歩がない。 畏れ多くも、 本書へ苦言を呈するところから始めるな […]

「日本語の形容詞」(北原 保雄)

言語の成立を考えたとき、 (擬音語・擬態語は別として) 名詞・動詞が他に先行したであろうことは、 想像に難くない。 盛り上がっている土地を、 「山」と名付け、 その土地を上に向かって歩くことを、 「登る」と名付ける、 といった具合だ。 そこから次の段階に進むと、 「山」の中にも、 「低い」や「高い」があったり、 「登る」であっても、 「ゆっくり」や「速い」があったり、 つまり、形容詞や副詞が生じる […]

1 7