言語・文字・文法

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「翻訳百景」(越前 敏弥)

著者は大学の学部・学科の先輩で、 海外ミステリーの翻訳家として、 かなり有名な方らしいのだが、 僕がその方面に詳しくないために、 今まで存じ上げなかった。 翻訳といえば中学生の頃に、 上田敏の『海潮音』とか、 堀口大學の『月下の一群』とかに触れて、 場合によっては、 翻訳には創作以上の価値があることを、 何となく理解はしていたのだけれども、 この本を読んでみて、 あらためてそれを実感した。 翻訳と […]

両利き

ambidextrous という、見慣れない英単語に遭遇し、 意味を調べてみると、 「両利き」とのこと。 念の為、 オックスフォード英英辞典を引いてみると、 able to use the left hand or the right hand equally well とある。 「and」じゃなくて「or」なのか? というモヤモヤは残るものの、 まぁ、意味は分かった。 ただ、 こんなイカつい単語 […]

魚介? or 魚貝?

子供の頃、 初めて「ぎょかい」という言葉を聞いて、 それが「魚貝」ではなく、 「魚介」だということに疑問をもって以来、 特にそこには踏み込むことなく、 大人になったわけだが、 昨日(w)、近所の寿司屋の看板に、 「まぐろと魚貝のお店」と書かれているのを目にして、 「ん?魚介じゃないの?」 と思ったのを機に、調べてみることにした。 我が国が世界に誇る、 『諸橋大漢和辞典』にあたったところ、 「介」の […]

「称詞・枕詞・序詞の研究」(金子 武雄)

わが国における韻文の、 つまり文芸・文学の歴史を遡れば、 必ずこの、 「称詞・枕詞・序詞」の問題に直面する。 これらがどのようなものなのか、 そしてどのように生まれたのかを論じた書なのだが、 古い本(昭和52年初版)ということもあり、 残念ながら想定の範囲を超えた内容ではない。 というよりも、この分野の研究は、 下手すれば江戸時代から進歩がない。 畏れ多くも、 本書へ苦言を呈するところから始めるな […]

「日本語の形容詞」(北原 保雄)

言語の成立を考えたとき、 (擬音語・擬態語は別として) 名詞・動詞が他に先行したであろうことは、 想像に難くない。 盛り上がっている土地を、 「山」と名付け、 その土地を上に向かって歩くことを、 「登る」と名付ける、 といった具合だ。 そこから次の段階に進むと、 「山」の中にも、 「低い」や「高い」があったり、 「登る」であっても、 「ゆっくり」や「速い」があったり、 つまり、形容詞や副詞が生じる […]

「古典対照語い表」(宮島 達夫)

「万葉集」「竹取物語」「伊勢物語」「古今和歌集」 「土佐日記」「後撰和歌集」「蜻蛉日記」「枕草子」 「源氏物語」「紫式部日記」「更級日記」「大鏡」 「方丈記」「徒然草」 のそれぞれの作品の中で、 どの単語が何回使われているかを、 一覧化した本。 中古から中世にかけての、 代表的な古典作品において、 ある単語がどれぐらい登場するのかを見ることで、 その単語の時代ごとの使用度合や、 また、作品内での単 […]

「私家版 日本語文法」(井上 ひさし)

もう今から40年も前の本になるが、 古いという感じは、ない。 井上ひさしという作家については、 ほとんど、というか、まったく知らないのだが、 著者本人も述べているように、 文法の素人(といっても文筆家である以上、完全な素人ではない)が、 文法について考えた本ということで、 興味を惹かれた。 所々、僕の理解力でも「ん?」と思える箇所が、 ないわけではないが、 なまじ専門家ではない分、 読者目線という […]

「辞書から消えたことわざ」(時田 昌瑞)

主に明治時代以前の文献には見られるが、 現在では、辞典にすら載っていない、 約200のことわざについて、 用例とともに、 それぞれの魅力について語った本。 例えば、 漱石の『愚見数則』にあるそうなのだが、 言う者は知らず、知る者は言わず なんて、意味も明解だし、 覚えやすい対句だし、 現代で使われてもよかろうと思ったり、 浮世草子の『武道張合大鑑』が出典だという、 人間は四百四病の入れ物 なんての […]

「博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話」(サイモン・ウィンチェスター)

OED(オックスフォード英語大辞典)といえば、 英語圏においてはもちろん、 世界最高級の辞典であるとともに、 人類の著作史上における、 最高傑作と呼んでも過言ではないかもしれない。 19世紀の半ば、 ヴィクトリア朝大英帝国において、 ありとあらゆる英語を、 その用例とともに収録することを目指し、 全12巻、完成まで70年、 40万以上の見出し語と180万以上の用例、 その規模は、例えば、 動詞se […]

「翻訳語成立事情」(柳父 章)

近世になって、外国語が輸入されるようになり、 それがもともと日本には存在しないような概念だった場合に、 どのような訳語にすればよいのか、 当時の知識人たちが相当悩んだであろうことは想像に難くない。 そしてその訳語が、 まったくの造語であるならば問題ないのだが、 それより以前に、別の意味で使われていた語だと、 事情はややこしくなる。 この本でも紹介されている分かり易い例でいえば、 「nature」と […]

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