言語・文字・文法

1/6ページ

「博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話」(サイモン・ウィンチェスター)

OED(オックスフォード英語大辞典)といえば、 英語圏においてはもちろん、 世界最高級の辞典であるとともに、 人類の著作史上における、 最高傑作と呼んでも過言ではないかもしれない。 19世紀の半ば、 ヴィクトリア朝大英帝国において、 ありとあらゆる英語を、 その用例とともに収録することを目指し、 全12巻、完成まで70年、 40万以上の見出し語と180万以上の用例、 その規模は、例えば、 動詞se […]

「翻訳語成立事情」(柳父 章)

近世になって、外国語が輸入されるようになり、 それがもともと日本には存在しないような概念だった場合に、 どのような訳語にすればよいのか、 当時の知識人たちが相当悩んだであろうことは想像に難くない。 そしてその訳語が、 まったくの造語であるならば問題ないのだが、 それより以前に、別の意味で使われていた語だと、 事情はややこしくなる。 この本でも紹介されている分かり易い例でいえば、 「nature」と […]

「盗作の言語学 表現のオリジナリティーを考える」(今野 真二)

別に盗作だけに限らず、 本取りや添削、あるいはパロディをも含めて、 ある文章(または詩歌)に似た、 別の文章(または詩歌)が存在している場合、 後者はどのような言語感覚、意識のもとで為されたものなのか、 を探るのが本書の主旨である。 作品を正面から捉えるのではなく、 その鏡像ともいえる別の作品と比較することで、 特徴や作者の意図に迫ろうとする試みは、 なかなか新鮮であった。 ただ、若干特定の作家に […]

「日本語の謎を解く: 最新言語学Q&A 」(橋本 陽介)

・日本語の起源は? ・なぜ五・七・五なのか? ・丁寧を表す「お」と「ご」の使い分けは? ・古語と現代語で意味が異なる単語があるのはなぜ? ・ら抜き言葉は誤用なのか? ・古文はそのまま話されていたのか? ・「は」と「が」の違い ・日本語の語順はなぜSOVなのか? などなど、実際に著者の教育現場で挙がったという、 日本語に関する疑問について、 ひとつひとつ解説を加えていくことで、 日本語の特徴を概説し […]

「ん―日本語最後の謎に挑む―」(山口 謠司)

古典文法の授業で、例えば、 「あなり」というのは、元々は「あるなり」で、 それが「あんなり」となり、「ん」が欠落したものである と習うが、 「あるなり」⇒「あんなり」は音便として説明が付くものの、 「あんなり」から「ん」が欠落する理由については、 よく分からない。 昔は「ん」を書かなかったのだ、と言われればそれまでだが、 ではなぜ書かなかったのか? いつから書くようになったのか? 「ん」に該当する […]

「部首のはなし―漢字を解剖する」(阿辻 哲次)

「一番日本らしい辞書は?」と問われたら、 それは国語辞典ではなく、漢和辞典なのかもしれない。 部首索引だけなら、本場中国の字典も同様なのだが、 漢和辞典はそれに加えて音訓索引を備えており、 それがこの辞典を、日本的な存在たらしめている。 この本でも再三触れらているとおり、 そもそもその漢字を読めるのであれば、 普通の人は、まず漢和辞典など引かないのだ。 通常は読めない漢字に出会ったときにはじめて、 […]

形容詞「念なし」

いきなり季節外れな話題になるが、 「残念無念、恨めしや~」といえば、 幽霊が登場する際の決まり台詞である。 いま問題にしたいのは、この「無念」という言葉で、 現在では上記の幽霊の台詞同様、 「無念」は専ら「残念」とほぼ同じ意味で使われているが、 よく考えてみると、 「残念」は「念」が「残」っているの対し、 「無念」は「念」が「無」いわけなのだから、 逆の意味であるのが正しいような気もする。 「無念 […]

動詞「ししこらかす」

『源氏物語』の「若紫」巻の冒頭、 病気を患う光源氏に対して、ある人が下記のように勧める。 「北山になむ、なにがし寺といふところに、かしこき行ひ人侍る。 去年の夏も、世におこりて、人々、まじなひわづらひしを、 やがて、とどむるたぐひ、あまた侍りき。 ししこらかしつる時は、うたて侍るを、とくこそ試みさせ給はめ。」 ざっと意訳すると、こんな感じになる。 「北山の何とか寺に偉い修行者がいます。 去年の夏も […]

「時間の言語学: メタファーから読みとく」(瀬戸 賢一)

「時間」という言葉の意味・用法から、 時間と我々との関係性について考察した本。 言葉の意味そのものから、 「時間とは何かについて」語るというのは新鮮ではあったものの、 特に後半、 「時間はお金」「時間は命」というメタファーを説明するあたりは、 ちょっとクドいかな。 あと、どうしても気になることがある。 著者は、「時間は流れ」であるとした上で、 ・時間そのものは、未来から過去へ流れる(A) ・我々は […]

夏を告げる漢字

以前、といっても4年半も前のことだが、 「春を告げる漢字」という記事を書いたら、 なぜかいまだに記事ランキング3位に入るぐらいに読まれているではないか。 何か特別なことでも書いたかしら?と思って、 当該記事を読み返してみたのだが、 我ながら大した内容は書いていない。 ただ、末尾に「次回は、6月ごろ、『夏』バージョンを。」と書いてあるにもかかわらず、 「夏バージョン」など書いた記憶がない。 なので4 […]

1 6