言語・文字・文法

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「部首のはなし―漢字を解剖する」(阿辻 哲次)

「一番日本らしい辞書は?」と問われたら、 それは国語辞典ではなく、漢和辞典なのかもしれない。 部首索引だけなら、本場中国の字典も同様なのだが、 漢和辞典はそれに加えて音訓索引を備えており、 それがこの辞典を、日本的な存在たらしめている。 この本でも再三触れらているとおり、 そもそもその漢字を読めるのであれば、 普通の人は、まず漢和辞典など引かないのだ。 通常は読めない漢字に出会ったときにはじめて、 […]

形容詞「念なし」

いきなり季節外れな話題になるが、 「残念無念、恨めしや~」といえば、 幽霊が登場する際の決まり台詞である。 いま問題にしたいのは、この「無念」という言葉で、 現在では上記の幽霊の台詞同様、 「無念」は専ら「残念」とほぼ同じ意味で使われているが、 よく考えてみると、 「残念」は「念」が「残」っているの対し、 「無念」は「念」が「無」いわけなのだから、 逆の意味であるのが正しいような気もする。 「無念 […]

動詞「ししこらかす」

『源氏物語』の「若紫」巻の冒頭、 病気を患う光源氏に対して、ある人が下記のように勧める。 「北山になむ、なにがし寺といふところに、かしこき行ひ人侍る。 去年の夏も、世におこりて、人々、まじなひわづらひしを、 やがて、とどむるたぐひ、あまた侍りき。 ししこらかしつる時は、うたて侍るを、とくこそ試みさせ給はめ。」 ざっと意訳すると、こんな感じになる。 「北山の何とか寺に偉い修行者がいます。 去年の夏も […]

「時間の言語学: メタファーから読みとく」(瀬戸 賢一)

「時間」という言葉の意味・用法から、 時間と我々との関係性について考察した本。 言葉の意味そのものから、 「時間とは何かについて」語るというのは新鮮ではあったものの、 特に後半、 「時間はお金」「時間は命」というメタファーを説明するあたりは、 ちょっとクドいかな。 あと、どうしても気になることがある。 著者は、「時間は流れ」であるとした上で、 ・時間そのものは、未来から過去へ流れる(A) ・我々は […]

夏を告げる漢字

以前、といっても4年半も前のことだが、 「春を告げる漢字」という記事を書いたら、 なぜかいまだに記事ランキング3位に入るぐらいに読まれているではないか。 何か特別なことでも書いたかしら?と思って、 当該記事を読み返してみたのだが、 我ながら大した内容は書いていない。 ただ、末尾に「次回は、6月ごろ、『夏』バージョンを。」と書いてあるにもかかわらず、 「夏バージョン」など書いた記憶がない。 なので4 […]

「局」という字について

またもや、とりとめのない話。 家の近所を歩いてたら、とある建物の下記のような貼り紙が目に入った。 ————— 開局時間変更のお知らせ ○:○○⇒○:○○ ————— 「開局」というと咄嗟にテレビ局か?と思ってしまうが、 まさかこんな東京の外れにそんなものがあるはずもなく、 あらた […]

副詞「とくと」

「とくとご覧ください」 などというときの「とくと」は、 「じっくりと」というような意味の副詞だろうということは分かるが、 「ご覧ずる」とか「見る」といった動詞にしか付かないっぽいのと、 語源もよく分からないのが、電車の中で急に気になり、 居ても立ってもいられなくなったので(座席には座れなかったが)、 帰宅して早速調べてみた。 こういうときはまずは『広辞苑』にたずねてみる。 —̵ […]

「字源の謎を解く」(北嶋 廣敏)

  出たばかりの本なのでつい買ってしまったわけだけれども、 語源と違って、字源にはどうしてもシラける要素がある。 それは、「甲骨文字でそうなっているから」という説明。 漢字の起源が甲骨文字であることは間違いないから、 そこでの物証は絶対であり反論の余地はないわけだが、 だからといって、例えば甲骨文字の存在を知らなかった『説文解字』の字源説を、 一刀両断に斬り捨てるようなのは、どうも面白く […]

「広辞苑先生、語源をさぐる」(新村 出)

  『広辞苑』の編纂者として有名な新村出先生の、語源に関するエッセイ。 エッセイといってもかなり専門性の高い内容も含んでおり、 かといってガチガチに語源だけを取り上げるのでもなく、 文学や周辺の文化など、 著者の広い知識と教養を存分に味わえる内容となっており、 「語源趣味談」という本人にによるネーミングがまさにふさわしい。 個人的に特に興味深かったのは「浪雲」という言葉についてで、 なん […]

「語源随筆・江戸のかたきを長崎で」(楳垣 実)

  「語源随筆」というのは、ズルくもあるが上手いネーミングで、 語源のようななかなか結論を断定できないものを、 学術論文風に書いても、それの正否は心もとないから、 だったらエッセイ風に気楽に語ってみよう、 というのがこの本のコンセプトなのだと思う。 元より正しい結論を出すことに主眼をおいていないから、 その分、脱線しつつ、あんな説やこんな説が紹介できるし、 読んでる側としては、それが楽し […]

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