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「妖怪と怨霊の日本史」(田中 聡)

小、中、高、大、と、我々が受ける教育において、 歴史とは政治史がメインである。 つまり「学校で習う歴史」というのは、 政治=権力の何かしらの介入が行われているものであるから、 それをそのまま事実として受け止めるわけにはいけない。 誤解を恐れずに言えば、 歴史には、捏造とでっちあげの「物語」の側面がある。 だから視点を変えて、 文化史、とりわけその中でも傍流となる観点から歴史を眺めてみると、 意外な […]

「日本的感性~触覚とずらしの構造~」(佐々木 健一)

公私ともども、ぐちゃぐちゃな状態になっており(継続中)、 久々の更新。 主に万葉集と二十一代集の和歌を読み解くことで、 日本的感性をあぶり出そうというのが、この本の主題。 和歌論としては秀逸だと思うけど、 それを「日本的感性」とまで敷衍できるかどうかは、 ちょっと疑問。 和歌というのは、非常に限られた人種だけの為し事であり、 かつその成熟のピーク期間は短い。 確かに他の芸術にくらべて、 感性が流入 […]

「百鬼夜行絵巻の謎」(小松和彦)

例えて言うなら、「この魚は刺身にしたら最高なのに、なんで天麩羅にしちゃうかね?」といった感じ。 要するに、「百鬼夜行絵巻」という最高の題材なのに、調理法を間違えたな、と。 印刷というものがなかった時代、書物や画は「模写」されるのが通常だった。 例えば源氏物語なんかは、分かりやすい。おそらく紫式部が書いたオリジナルというのはごく一部だったはずで、それを創作能力がある人が模写するたびに、サイドストーリ […]

「場末の酒場、ひとり飲み」(藤木TDC)

新書は、良い。 文庫本で古典を読んだり、ハードカバーでデザインや科学関連の本を読んだりするのも好きだけれど、やはり新書を片手に酒をちびちびやるのが、この上ない快楽だ。 と思ったら、「場末の酒場、ひとり飲み」なんて本を見つけた。 いきなり酒場の紹介から入るわけではなく、そもそも場末とは何かという考察から始まるあたり、なかなか礼儀正しい。 そして場末の誕生にもいくつかのパターンがあることに言及し、いよ […]

「『半七の見た江戸』~「江戸名所図会」でたどる半七捕物帳」

綺堂が、かの「シャーロックホームズ」 シリーズに触発されて「半七」シリーズを書いたことは有名だけれども、 ホームズ中に描かれたロンドンの風景の大部分が 今でもそのまま残っているのに対し、 半七が見であろう江戸の風景、そして地名でさえも、現在残っているものはほとんどない。 「半七」全編に登場する江戸の地名を、ひとつひとつ図絵で紹介し、解説を付したのこの本だ。 かつて「半七」を読んだときにはあまり気に […]

「ドガ展」(@横浜美術館)

静物画、肖像画、風景画。宗教画を除けば、絵画は静的なテーマであることが多い。 止まっているものを精緻に描く、あるいは動いているものの時間を止めて描く、 例えばドガと同時代の印象派の手法というのが、まさにそれだった。 けれどもドガの画は、動いているものをあたかも動いているかのように、 もっと言えば、時間を止めずに対象を描いた、数少ない画家であるかもしれない。 だから、ドガの画のテーマに、競馬やバレエ […]

「~隅田川~江戸が愛した風景~」(@江戸東京博物館)

作家や美術館を冠にした展覧会が多い中で、特定のテーマを掲げた企画展というのは、開催する側にとっても骨が折れることに違いない。 今回の「すみだ川」展は、開催側の気合もひしひしと伝わってくる、すばらしい企画だと思った。 やはり江戸、そして東京は水の都。 わが国の首都の歴史は、水運なくしては、語ることができない。 特に江戸の東端を南北に貫くすみだ川は、水運という経済的な面はもとより、 多くの絵画や戯作、 […]

「江戸のことば」(岡本綺堂)

引き続き、綺堂を。 『江戸のことば』は「綺堂随筆集」とあるけれど、怪談も数話収められている。 「半七」と同じで、綺堂の怪談でどれが一番優れているか、あるいは怖いか、などと考えるのはあまり意味がなさそうに思う。 ただこの本に収められた「深川の老漁夫」は、コワい。 話しとしては特に捻りがあるわけではないのだけれど、謎の漁師と獺(かわうそ)との関係が、多くを語られていないだけに、異常さが際立っている。 […]

「江戸っ子の身の上」(岡本綺堂)

引き続き、綺堂を。 綺堂の随筆には動物がよく登場する。 動物といっても犬や猫のような愛玩動物ではなく、蜘蛛だの、蟹だの、キリギリスだの、、といった世間ではあまり注目されない存在を採り上げるあたり、まことに綺堂らしい。 大袈裟に言ってしまえば、アウトサイダーに対する愛情、となるのだろうか。 綺堂が怪談を得意としたのも、頷ける。 『満州の夏』という随筆に、蠍の話がある。 「蠍は敵に囲まれた時は自殺する […]

「カポディモンテ美術館展」(@国立西洋美術館)

「放蕩息子の帰宅」というのは、聖書中のエピソードの中でも、よく絵画化されたものの1つである。 中でもレンブラントの作品がずば抜けて有名だけれども、あの極端な陰影と表情がはっきりしない点、 そして人物を無理に構図に押し込めたようなレイアウトが、個人的にはあまり好きではない。 今回の「カポディモンテ美術館展」で出会った「放蕩息子の帰宅」は、ひと目見て好きになった。 適度な陰影、父の手を取り自らの人生を […]

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