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「江戸の妖怪絵巻」(湯本 豪一)

よく絶滅危惧動物、という語を目にするけれど、妖怪こそは絶滅してしまった動物のひとつだろう。 少なくとも、江戸時代までは存在していた。 別に感傷的な意味で言っているわけではなく、事実なのであって、人々が「信じていた」のであれば、それは存在していたのである。 しかし、富国強兵を掲げた明治の近代化の前では、妖怪たちはあまりに無力だった。 街燈に照らし出された夜の街から、元の闇へこっそりと逃げ帰るしかなか […]

「名刀 その由来と伝説」(牧 秀彦)

刀の”オブジェ”としての価値には全く興味はないけれど、 それを握ったもの達が辿った運命というか生き様には、興味がある。 特に源氏代々の宝刀「鬼切」については、頼光四天王・渡辺綱の腕切りのエピソードなどは昔からよく馴染んでいたので、 いくたびもの呼び名の変遷を経て、最後は新田義貞の憤死の手に握られていた、というくだりは、まさにワクワクしながら読めた。 刀を聖なるものと崇める習慣は、洋の東西を問わない […]

「江戸の非人頭 車善七」(塩見 鮮一郎)

こちら方面の知識が皆目ない自分がまず驚かされたのは、 非人の監督役の家及び「溜」が吉原に隣接していたという事実。 人生の享楽と悲哀、これらは実は表裏一体なのだ、ということを暗示しているようで、なかなか面白い。 「エタ・非人」という言葉自体は、小学校の社会科の授業のときから耳にしていたものの、 現代まで続く根の深い(デリケートな)問題ということもあり、なかなかそこに踏み込んだ書物を詠んだことはなかっ […]

「~特別展 円山応挙 ー 空間の創造風景~」(@三井記念美術館)

基本的には常に忙しいつもりなんだけれど、ここのところは、ヒドイ。 仕事があるのは嬉しいのだが、引越しやらなんやらも重なってしまい、このサイトを更新するのもロクにできていない。 美術館に行ったのも、随分久しぶりだ。 たまには良いものをinputしなければ、良いoutputはできない。 余裕の枯渇している今だからこそ、敢えて原点回帰で日本画を、、ということで円山応挙展へ足を運んだ。 目当ては、「松に孔 […]

「名画で読み解くハプスブルク家12の物語」(中野 京子)

世界史ではなく絵の方に興味があるので本書を手にとってみたけれど、 結果としては絵よりも歴史の面白さの方に引きずりこまれた結果となった。 姉妹編として「ブルボン朝版」の方も出ているけれど、 やはりブルボンとハクスブルクとでは、重みが違う。 「運命のいたずら」としか言いようのない歴史の渦に巻き込まれていく王朝の人々の悲劇を、 ここまで適確にかつ簡略に伝えた本は他にないのではないか。 我々が西洋の肖像画 […]

「妖怪と怨霊の日本史」(田中聡)

小、中、高、大、と、我々が受ける教育において、歴史とは政治史がメインである。 つまり「学校で習う歴史」というのは、政治=権力の何かしらの介入が行われているものであるから、それをそのまま事実として受け止めるわけにはいけない。 誤解を恐れずに言えば、歴史には、捏造とでっちあげの「物語」の側面がある。 だから視点を変えて、文化史、とりわけその中でも傍流となる観点から歴史を眺めてみると、意外な事実が浮かび […]

「日本的感性~触覚とずらしの構造~」(佐々木健一)

公私ともども、ぐちゃぐちゃな状態になっており(継続中)、久々の更新。 主に万葉集と二十一代集の和歌を読み解くことで、日本的感性をあぶり出そうというのが、この本の主題。 和歌論としては秀逸だと思うけど、それを「日本的感性」とまで敷衍できるかどうかは、ちょっと疑問。 和歌というのは、非常に限られた人種だけの為し事であり、かつその成熟のピーク期間は短い。 確かに他の芸術にくらべて、感性が流入している度合 […]

「百鬼夜行絵巻の謎」(小松和彦)

例えて言うなら、「この魚は刺身にしたら最高なのに、なんで天麩羅にしちゃうかね?」といった感じ。 要するに、「百鬼夜行絵巻」という最高の題材なのに、調理法を間違えたな、と。 印刷というものがなかった時代、書物や画は「模写」されるのが通常だった。 例えば源氏物語なんかは、分かりやすい。おそらく紫式部が書いたオリジナルというのはごく一部だったはずで、それを創作能力がある人が模写するたびに、サイドストーリ […]

「場末の酒場、ひとり飲み」(藤木TDC)

新書は、良い。 文庫本で古典を読んだり、ハードカバーでデザインや科学関連の本を読んだりするのも好きだけれど、やはり新書を片手に酒をちびちびやるのが、この上ない快楽だ。 と思ったら、「場末の酒場、ひとり飲み」なんて本を見つけた。 いきなり酒場の紹介から入るわけではなく、そもそも場末とは何かという考察から始まるあたり、なかなか礼儀正しい。 そして場末の誕生にもいくつかのパターンがあることに言及し、いよ […]

「『半七の見た江戸』~「江戸名所図会」でたどる半七捕物帳」

綺堂が、かの「シャーロックホームズ」 シリーズに触発されて「半七」シリーズを書いたことは有名だけれども、 ホームズ中に描かれたロンドンの風景の大部分が 今でもそのまま残っているのに対し、 半七が見であろう江戸の風景、そして地名でさえも、現在残っているものはほとんどない。 「半七」全編に登場する江戸の地名を、ひとつひとつ図絵で紹介し、解説を付したのこの本だ。 かつて「半七」を読んだときにはあまり気に […]

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