社会・文化

1/10ページ

「発表会文化論:アマチュアの表現活動を問う」(宮入 恭平 編著)

アマチュア音楽愛好家にとって、 「発表会」という存在は、 避けて通れないテーマである。 それは別にピアノやヴァイオリンなどの、 クラシック音楽に限らず、 バレエでも長唄でも日本舞踊でも、 ライブハウスでのバンド演奏でも、 また、美術展であっても同様だ。 要するに、 アマチュアが「(決して安くはない)お金を払って」、 人前で芸を披露する というのが発表会の定義となるのだろうが、 そこには様々な根深い […]

「書物と貨幣の五千年史」(永田 希)

任意の断面においては、 ナルホド、と思える箇所もあるのだけれど、 全体として見ると、 何が言いたいのか不明。 これが小説であれば、 奇しくもこの本で同様に紹介されている、 芥川の『文芸的な、余りに文芸的な』に書かれているような、 セザンヌ絵画にも喩えられるべき、 「純粋な小説」として享受できるのだが、 論考となると、 やはりロジカルで論旨が明瞭なことを、 第一とすべきだろう。 タイトルからは想像付 […]

「トマト缶の黒い真実」(ジャン=バティスト・マレ)

世界に広く流通している、 「イタリアをイメージした」トマト缶が、 実は中国で生産されている、 という事実を、 各所への取材を中心に、 ドキュメンタリー風に描いた一冊。 トマトといえば、 反射的に思い浮かべる「赤」という色を、 逆手にとったタイトルからして、 まず秀逸。 そして、そのトマトを栽培・収穫する、 新疆ウイグル自治区や、 それを加工する天津の工場、 さらにそれを販売するイタリアの商社に、 […]

「火葬場」(浅香 勝輔 / 八木沢 壮一)

実家が火葬場(落合葬場)の近くだったため、 少年の頃の日々の記憶の景色には、 あの薄汚れて威圧感のある、 煙突の姿が象徴のようにこびり付いている。 (現在では近代化が進み、煙突はなくなっているらしい) 小学校への通学時はもちろん、 近所で遊ぶにも、 常にあの煙突は視界に入っていたので、 それが別に嫌な感じとか、 人の死と結びついているとか、 そんなネガティブな感覚は、 当時もなかったように思う。 […]

「霊柩車の誕生」(井上 章一)

生まれ育った場所(落合)が、 火葬場に近かったこともあり、 子供の頃から、霊柩車には、 何となく愛着(?)のようなものがある。 いや、愛着は言い過ぎで、 「見慣れている」というレベルかもだが、 いずれにせよ、 あの独特の見た目には、 奇異とも敬虔ともいえない、 独特な感覚があったように思う。 僕が見慣れていたのは、 車体の後ろ半分が、 山車や神輿のようになっている、 この本でいうところの、 「宮型 […]

「歴史を変えた6つの飲物」(トム・スタンデージ)

文化史、経済史、政治史、 というレベルで、 世界史を語ることはできるけれども、 例えば、 音楽史、絵画史、読書史、 では「世界」は語れない。 だが、酒は違う。 酒は、この地球上に生まれて以来、 万人を熱狂させ、 時には権力と結びつき、 時には人々の争いを招き、 そして何よりも、 常に人々の生活の、 「ほぼど真ん中」にあった。 しかし酒が人を酩酊させることは、 利点であると同時に弱点でもあり、 人を […]

「土葬の村」(高橋 繁行)

著者自身の実地調査の結果を交えながら、 現代日本にひっそりと残る、 「土葬」の風習について語った本。 土葬のみならず、 主に離島に残る古い葬儀の形についても、 豊富な実例で紹介しているのだが、 反面、実例紹介が大半を占めており、 それに対する考察が少ないのが、 やや不満。 まぁ、新書ということを考えると、 それも仕方ないのかもしれない。 土葬の細かな手順や作法について知れば知るほど、 その大変さに […]

「知っておきたい『酒』の世界史 」(宮崎 正勝)

僕が思うに、 「酒の世界史」とは一種のトートロジーで、 なぜならば、世界史を形作ったのは酒であり、 酒がなければ歴史は存続しなかっただろう、 と思うからである。 本書は、文明史に沿って、 酒の歴史を下記のように明確に区分する。 1.狩猟・採集による「果実の醸造酒」の時代 2.農耕による「穀物の醸造酒」の時代 3.「蒸留酒」の時代 4.新旧大陸の交流による「混成酒」の時代 5.産業革命による「酒の大 […]

「人喰い-ロックフェラー失踪事件」(カール・ホフマン)

最初におことわりしておくと、 この本はオカルトでもホラーでもなく、 異文化同士の接触を生々しく描いた、 文化人類学的ルポルタージュである。 1961年、あのアメリカの大富豪ロックフェラー家の御曹司である、 マイケル・ロックフェラーが、 ニューギニア島での美術品収集の旅の最中、 乗っていたボートが転覆し、 行方不明になるという事件が発生する。 アメリカはもちろん、 ニューギニアの統治を目論むオランダ […]

「悪について誰もが知るべき10の事実 」(ジュリア・ショウ)

うーん、ちょっと想像していた本と違った。 「邪悪な行いは邪悪な人間がするものとは限らない。 それは強い社会的勢力の影響のせいかもしれない」 ということを、様々な「邪悪な行い」を例に挙げて、 心理学的に考察した本。 ちなみに、タイトルにもなっている、 「悪について誰もが知るべき10の事実」とは、 1.人間を悪とみなすのは怠慢である。 2.あらゆる脳はすこしサディスティックである。 3.人殺しは誰にで […]

1 10