社会・文化

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「火葬場」(浅香 勝輔 / 八木沢 壮一)

実家が火葬場(落合葬場)の近くだったため、 少年の頃の日々の記憶の景色には、 あの薄汚れて威圧感のある、 煙突の姿が象徴のようにこびり付いている。 (現在では近代化が進み、煙突はなくなっているらしい) 小学校への通学時はもちろん、 近所で遊ぶにも、 常にあの煙突は視界に入っていたので、 それが別に嫌な感じとか、 人の死と結びついているとか、 そんなネガティブな感覚は、 当時もなかったように思う。 […]

「霊柩車の誕生」(井上 章一)

生まれ育った場所(落合)が、 火葬場に近かったこともあり、 子供の頃から、霊柩車には、 何となく愛着(?)のようなものがある。 いや、愛着は言い過ぎで、 「見慣れている」というレベルかもだが、 いずれにせよ、 あの独特の見た目には、 奇異とも敬虔ともいえない、 独特な感覚があったように思う。 僕が見慣れていたのは、 車体の後ろ半分が、 山車や神輿のようになっている、 この本でいうところの、 「宮型 […]

「歴史を変えた6つの飲物」(トム・スタンデージ)

文化史、経済史、政治史、 というレベルで、 世界史を語ることはできるけれども、 例えば、 音楽史、絵画史、読書史、 では「世界」は語れない。 だが、酒は違う。 酒は、この地球上に生まれて以来、 万人を熱狂させ、 時には権力と結びつき、 時には人々の争いを招き、 そして何よりも、 常に人々の生活の、 「ほぼど真ん中」にあった。 しかし酒が人を酩酊させることは、 利点であると同時に弱点でもあり、 人を […]

「土葬の村」(高橋 繁行)

著者自身の実地調査の結果を交えながら、 現代日本にひっそりと残る、 「土葬」の風習について語った本。 土葬のみならず、 主に離島に残る古い葬儀の形についても、 豊富な実例で紹介しているのだが、 反面、実例紹介が大半を占めており、 それに対する考察が少ないのが、 やや不満。 まぁ、新書ということを考えると、 それも仕方ないのかもしれない。 土葬の細かな手順や作法について知れば知るほど、 その大変さに […]

「知っておきたい『酒』の世界史 」(宮崎 正勝)

僕が思うに、 「酒の世界史」とは一種のトートロジーで、 なぜならば、世界史を形作ったのは酒であり、 酒がなければ歴史は存続しなかっただろう、 と思うからである。 本書は、文明史に沿って、 酒の歴史を下記のように明確に区分する。 1.狩猟・採集による「果実の醸造酒」の時代 2.農耕による「穀物の醸造酒」の時代 3.「蒸留酒」の時代 4.新旧大陸の交流による「混成酒」の時代 5.産業革命による「酒の大 […]

「人喰い-ロックフェラー失踪事件」(カール・ホフマン)

最初におことわりしておくと、 この本はオカルトでもホラーでもなく、 異文化同士の接触を生々しく描いた、 文化人類学的ルポルタージュである。 1961年、あのアメリカの大富豪ロックフェラー家の御曹司である、 マイケル・ロックフェラーが、 ニューギニア島での美術品収集の旅の最中、 乗っていたボートが転覆し、 行方不明になるという事件が発生する。 アメリカはもちろん、 ニューギニアの統治を目論むオランダ […]

「悪について誰もが知るべき10の事実 」(ジュリア・ショウ)

うーん、ちょっと想像していた本と違った。 「邪悪な行いは邪悪な人間がするものとは限らない。 それは強い社会的勢力の影響のせいかもしれない」 ということを、様々な「邪悪な行い」を例に挙げて、 心理学的に考察した本。 ちなみに、タイトルにもなっている、 「悪について誰もが知るべき10の事実」とは、 1.人間を悪とみなすのは怠慢である。 2.あらゆる脳はすこしサディスティックである。 3.人殺しは誰にで […]

「タイトルの魔力―作品・人名・商品のなまえ学」(佐々木 健一)

主に美術作品を題材として、 作品とタイトルとの関係、そしてタイトルとは何なのか、 について論じた本。 扱う内容が巨大すぎて、 新書のボリュームでは耐えきれないのと、 文章がややくどいこともあり、 ちょっと不完全燃焼な感はあるが、 芸術作品以外でも、 普段何気なく手にする小説から商品に至るまで、 なぜそのようなタイトル(ネーミング)なのか、 そこにはどのような意味が込められているのか、 などを考える […]

「日本人とリズム感 ―『拍』をめぐる日本文化論―」(樋口 桂子)

一番の衝撃は「あとがき」に書かれた内容だった。 著者は大人になってからチェロを習い始めたそうで、 そのときに師事した先生のことが書かれていたわけだが、 最初は温厚だった先生が突然、 「あなたにはリズム感がない!」と怒り出し、 それからはひたすら数か月、間開放弦を弾くのみ。 その間もずっと怒鳴り散らし、 著者が体でリズムを取る様子を、 「気持ち悪い。薄気味悪い。恐怖すら感じる」と、 罵倒し続けたのだ […]

「偶然の科学」(ダンカン・ワッツ)

タイトルだけを見て、 当然科学関連の本だと思ったら、違った。 せっかくKindleで試し読みができるのに、 それを活用しなかった自分が悪いのだが。 ということで、内容は完全に専門外なので、 どういうジャンルになるか分からないのだが、 おそらく社会学とか社会心理学、 あるいはマーケット論の類なのだろう。 要するに、 常識と思われていることも実は当たり前ではなく、 裏側で何らかのバイアスが働いているの […]

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