随筆・エッセイ・日記

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「こんな日もある 競馬徒然草」(古井 由吉)

1986年から約30年間、 著者が他界する前年まで書き綴った、 競馬についてのエッセイ。 冬の日に照らされて散る葉には、 風にうながされるのもあれば、 風の合間の静まりに、どういうものか、 一斉にはらはらと落ちるのもある。 燃え盛った紅葉に、わずかな風が吹き付けても、 葉が騒ぎ立って、紅の嵐のように見えることもある。 というような、味わい深い文章もあるけれども、 基本的には、 トーセンジョーダンが […]

「真贋」(吉本 隆明)

これはエッセイかと思いきや、 「あとがき」によれば、 どうやら著者へのインタビューを、 編集者が文章にしたものらしい。 なるほど、 最初からインタビューだと分かっていれば、 読む側の心構えも違っていたのだが、 吉本隆明にしては、 文章に切れ味と深みがなく、 なんともかんとも消化不良、、、 という印象のまま、 気がついたら読み終わってしまった。 一応、テーマとしては、 「真贋」というタイトルのとおり […]

「言葉を離れる」(横尾 忠則)

1936年生まれ、 高齢となった著者が、 自らの人生を振り返りつつ、 生と死、そして芸術などについて、 語ったエッセイ。 著者は、少年時代から、 ほとんど本を読まなかったという。 しかしそれは決してマイナスではなく、 「言葉を離れる」ことで、 逆に得られることも多く、 特に絵を描くという行為においては、 言葉は無用で、 肉体の感覚こそが重要だと語る。 また、著者には、 本以上に、人から学んだことが […]

「しらふで生きる 大酒飲みの決断」(町田 康)

運動と食事制限を継続し、 コロナ禍のダイエットも、 無事成功しているわけだけれども、 やはり「飲みすぎ」が気になる中、 たまたま目についたので読んでみることにした。 著者は、芥川賞を始め、 数々の文学賞を受賞している作家 (残念ながら、読んだことはない) ということで、 何かしら得られるものがあるかと思い、 期待し過ぎたのが失敗だった。 本書は、 1.なぜ酒をやめようと思ったのか 2.どのようにし […]

「翻訳百景」(越前 敏弥)

著者は大学の学部・学科の先輩で、 海外ミステリーの翻訳家として、 かなり有名な方らしいのだが、 僕がその方面に詳しくないために、 今まで存じ上げなかった。 翻訳といえば中学生の頃に、 上田敏の『海潮音』とか、 堀口大學の『月下の一群』とかに触れて、 場合によっては、 翻訳には創作以上の価値があることを、 何となく理解はしていたのだけれども、 この本を読んでみて、 あらためてそれを実感した。 翻訳と […]

「ヨーロッパ退屈日記」(伊丹 十三)

どこかで誰かが、 「これを読まなければエッセイは語れない」 みたいなことを言っていたので、 読んでみた。 伊丹十三といえば、 1974年生まれの僕でも、 かろうじて「『マルサの女』の監督」、 というイメージしかないのだが、 デザイナーであり、イラストレーターであり、 俳優であり、映画監督であり、 そしてエッセイストであり、、、 といった、 一流のマルチ・タレントだったそうで、 そんな彼が、日本人俳 […]

「酒から教わった大切なこと 本・映画・音楽・旅・食をめぐるいい話 」(東 理夫)

読書と酒は似ているところがあって、 これはheavyだな、と思っても進みが早かったり、 逆に、lightだと思ったら結構時間が掛かったり。 酒に関するエッセイを集めたこの本は、 ひとつひとつは、 電車の一駅分にも満たないぐらい短く、 かつ内容的にもスラスラと読めるのだが、 (悪い意味ではなく)まるで薄い酒をちびちびと舐めているようで、 読み終わるのに、案外時間を要してしまった。 長編小説を、寝る間 […]

「新方丈記」(内田 百間)

終戦前後の小屋暮らしを描いた『新方丈記』と、 百間が語った内容を文章化した『百間園夜話』を収録。 『新方丈記』については、 以前紹介した『東京焼盡』とほぼ同じ内容なので、 あらためてここで触れられることも少ないのではあるが、 あらたに追加になっていた内容で、 思わず笑ってしまったのが、 百間の師である漱石の思い出を語った部分。 たとえば、 空襲で家を焼き出された後、 百間と共に小屋で暮らすことにな […]

「東京焼盡」(内田 百間)

まず最初にことわっておくと、 百間先生の「けん」の字は、 本来は「門がまえ+月」なのであって、 それを「間」の字で代用しているのは、 一部のブラウザで文字化けをするために、 やむを得ない処置なのではあるが、 そもそも「月」と「日」は、 全く異なるものであり、 しかも単独では「ケン」とは発音しないにもかかわらず、 そのどちらもが「門」の中に入ると、 同じく「ケン」と発音するのがおかしいのであって、 […]

「泥酔文学読本」(七北 数人)

「酒と文学はよく似ている」ということから、 酒が印象的な数多くの作品を紹介したエッセイ集。 自分が最近あまり小説を読まないこともあり、 ほとんどが知らない作品ばかりであったが、 さいわい酒の方は、 あまり飲まないどころかお世話になりっぱなしなので、 トータルとしてはまずまず楽しめることができた。 やはり酒というのは、古今東西、 日常と非日常とをつなぐアイテムの代表格だったわけで、 それが小説や詩歌 […]

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