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「陰翳礼讃」(谷崎潤一郎)

ちょっと前から、「デザイナー」と呼ばれる(あるいは自称している)人たちの間で、谷崎の『陰翳礼讃』を評価することがブームになっている。 日本文化の本質は「陰翳」にある、という内容をひたすら繰り返すエッセイなのだが、自分にはこの作品がちっとも優れているとは思えない。いやむしろ、 谷崎潤一郎としては、失敗作の部類に入るのではないか。 なぜ日本人が「陰翳」を好むのか、谷崎はこのように結論付ける。即ち、 日 […]

「国宝 土偶展」(@東京国立博物館)

縄文土器や土偶に、考古学的アプローチではなく芸術的アプローチを初めて試みたのは、 岡本太郎だったろう。 とは言うものの、自分としては今までじっくりとそれらを眺めたことはなかったので、 「ボルゲーゼ美術館展」の帰りに、やはり上野で「土偶展」が開催されているのを見つけ、 足を運んでみた。 これは、すごい・・・ 国宝に認定されている土偶は3体しかなく、 今回初めてその3体が一ヶ所に集まった、なんて蘊蓄は […]

「ボルゲーゼ美術館展」(@東京都美術館)

ラファエロの”一角獣”を目当てに行ったのだけれども、正直、期待外れ。 どちらかと言えば、つまらない絵だ。 概して、ルネサンスの画を楽しもうとするには、相応の覚悟がいる。 というか、現代の日本人には理解しろという方が難しい、越え難い壁がある。 (そういう意味では、その壁をラクラク越えて”何か”を伝えてくる、レオナルドやミケランジェロというのは、 やはり偉大なんだろう。) 今回もそんな覚悟をしながら臨 […]

「恐竜博物図鑑」(ヘーゼル・リチャードソン)

図鑑なんていうものは、何冊もいらない。 特に恐竜のような、半ば想像に頼らざるを得ないようなものが相手だと、”良識的な”図鑑が1冊あれば十分だ。 数多ある同類の書籍の中でも、この恐竜図鑑は、抜きん出て素晴らしい。 ボリュームはむしろ少ない方だが、他の多くの図鑑類が、どちらかといえば「絵本」に近いのに比べ、 この『恐竜博物図鑑』は大人でも普通に読めるように(いや、むしろ大人向け)、一体一体に学術的な解 […]

「ガリレオの指」(ピーター・アトキンス)

この本に出会ったのは、まだサラリーマン時代の、5~6年前のこと。 科学の楽しさ、美しさを、ここまで興味深く書いた本には、 同ジャンルの本をそこそこ読んでいるつもりの自分でも、未だ出会っていない。 副題は「現代科学を動かす10大理論」。 1.進化 2.DNA 3.エネルギー 4.エントロピー 5.原子 6.対称性 7.量子 8.宇宙論 9.時空 10.算術 ちょっとでも理科が好きな人なら、この題目を […]

映画「4分間のピアニスト」

ドイツが生んだ最高のピアニストの一人、 ウィルヘルム・バックハウスの最後の録音が残っている。 死の1週間前、85歳の演奏。 まるで1ラウンドから打たれ続けたボクサーのように、 コンサートの途中で、ドクターストップがかかる。 プログラムの残りの、ベートーヴェンのソナタを弾くのは、 とても無理だ。 しかしマエストロはそこで終わりはしなかった。 残された力を振り絞って、 彼の最後の録音を残すのである。 […]

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