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「江戸絵画への視点 展」(@山種美術館)

相変わらず、抱一の構成力と描画力には感嘆するしかない。 けれど今回は、日本画鑑賞の限界を感じてしまった。 自分でも認めたくないネガティブな内容なので、手短に。 西洋画と日本画の決定的な差は、日本の高温多湿な気候ゆえに、それと顔料の違いももちろんあるだろうが、 その保存状態がおそろしく違うということ。 西洋画はルネサンス期の絵画でも鮮明な色のまま現存するが、日本画は江戸後期のものであっても、大部分は […]

「名画で読み解くブルボン王朝12の物語」(中野京子)

どうも我々は(僕だけかもしれないが)、政治史と文化史とを別々に捉える傾向にある。 さらには文化史の中でも、音楽史と美術史とは、頭の中のエリアで完全に区分されてしまっているため、 「この作曲家とこの画家は、同時代の人」ということは、ざっくりとは分かるけれど、言われなければなかなか気付かない。 この本はブルボン王朝の歴史を軸として、それにまつわる絵画・画家を紹介してくれているので、政治史と文化史がアタ […]

「広告のデザイン(Pen BOOKS)」

本のタイトルは「広告のデザイン」。 今や広告はコミュニケーションツール、つまりデザインの領域として語られるのが当たり前だけれども、 かつては(そして今も一部では)広告は一種のアートであることを教えてくれる。 パソコンがここまで進歩した現在、誰もがデザインをできるようになった。 でもこの本で紹介されているような、1950年代のデザインは、パソコンなしでの完成度。 デザイン=テクニックではないことを、 […]

「名短編ここにあり」(北村薫・宮部みゆき編)

先日、僕より先輩の方が、「何か小説を読んでみたいんだけれども、なにか良いものはないですか?」とたずねてくるので、「まずは短編なんてどうでしょう」と答えてみたら、「短編では読んだ気がしないのです」とのことで、成程そういう感じ方もあるもんだ、と酒の席ながら妙に記憶に残った。 そういう自分も、実は10代の頃に名作と呼ばれる小説を読み耽ったのをピークとして、最近ではごく稀にしか小説を読まない。 だから今回 […]

「不朽の名画を読み解く」(宮下規久朗)

14~20世紀の70人の画家の150点近くの絵画の解説が、オールカラーで1,800円なら、お買い得である。 中には、イマイチ説明がピンと来ないものもあったが、解説抜きで絵を眺めるだけでも、十分に楽しめる。 全体像はもちろん、寄りの絵があったり、参考作品もあり、人物伝もあったりと、この本を読んで実物を見たくなった絵もかなりある。 もし1枚だけ見たいなら?と言われたら、悩んだ挙句、カラヴァッジョの「聖 […]

「徘徊老人の夏」(種村季弘)

僕はエッセイというジャンルが好きじゃない。 他人が何かをしたり、何かを考えたり、ということに全く興味がないからだ。 それだったら、堂々とフィクションである小説や、自然科学系の本の方が興味をそそられる。 それでも中には、その文章が好きだから思わずエッセイを読んでしまう、という貴重な作家もいる。 種村季弘はそんな作家の1人で、内容は別にどってことないのだけど(失礼)、なぜかその語り口に引き込まれていっ […]

「日本のかたち」

芸術、いや文化とは何か、と問われたら、それは「かたち」であると答えたい。 さらに踏み込むならば、「かたち」の発見と伝承、そして「かたち」に精神を吹き込むこと、と言ってもいい。 かつて西洋の誰かが、美しい音色を響かせるために、ヴァイオリンという楽器を作った。 そしてその楽器を、より弾きやすくより響きやすくするためには、曲線のフォルムが良いということを発見し、それは500年経った今でも伝承されている。 […]

「アーティストの言葉~美の創造主たちの格言~」

日本で「アーティスト」というと、不思議なことに(特にポップ・ミュージックの)演奏家を指すことが多いけれど、この本で採り上げているのは、画家・彫刻家を中心とした、いわゆる「芸術家」「デザイナー」と呼ばれる人々。 ダ・ヴィンチから始まり、セザンヌ、北斎、マグリット、イサム・ノグチ・・・と、実に多彩。 85人の「名言」を収録している。 芸術家の言葉というのは、断片的にフレーズだけ拾ってみても、イマイチ意 […]

「シャガール-ロシア・アヴァンギャルドとの出会い 展」(@藝大美術館)

古びた道具で、心の底を、ぐいっ、ぐいっ、と掘り起こしてくる・・・。 それが僕のシャガールのイメージ。だから「怖くて見れない」って、数か月前に書いた気もする。 あらためて言葉にしてみれば、それはおそらく、「幼児期に誰もが経験したような原初的な恐怖体験を呼び起こす」ような感覚と言えるかもしれない。 今でも覚えてる。まだ4~5歳のころ、遠出して車で帰宅するのに、太陽がどこまでも追いかけてくるのに怯えて泣 […]

「ポスターを盗んでください」(原研哉)

原研哉氏の本は、ほんの少しでも、「クリエイティブに関わっている」と思う人だったら、絶対に読んでほしい。 僕が(生存している・失礼・・)人を褒めることはまずないのだけれども、それだけこの人の書いている本は抜群に面白い。 というか、作家になった方がよいのでは、と思うぐらい味わい深い文章を書く。 パリはまだまだ、食べきれないカマンベール・チーズなのである。 なんて、並大抵の人間に書けるフレーズじゃないと […]

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