古典

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「物語史の起動」(藤井 貞和)

いまさら「物語史」について、 そう新しい切り口はないだろうと思いながらも、 新刊、しかも青土社かつ藤井貞和だと、 ついつい買ってしまう。 著者は物語史を以下のように分類する。 ——————— 神話紀:ほぼ縄文時代 昔話紀:ほぼ弥生時代 フルコト紀:ほぼ古墳時代 物語紀:7~13、14世紀 ファンタジー紀:中世後期~ […]

「ゆれうごくヤマト ―もうひとつの古代神話」(アンダソヴァ・マラル)

「大和朝廷」といえば、 我々は小学校以来の歴史の教科書で、 あたかも我が国の礎を築いた、 絶対的な存在として教えて込まれてきた。 けれども、歴史とは必ずしも事実ではなく、 時の権力者によって描かれた、 「ストーリー」であることを忘れてはならない。 だがそれは、 子供の頃からそのような「ストーリー」を、 刷り込まれてきた我々日本人には、 もはや克服できず、 本書の著者のような、 海外からの眼を以てし […]

「日本古典と感染症」(ロバート・キャンベル)

万葉集から漱石・鴎外まで、 我が国の文学作品と、 感染症との関わりについての論考集。 正直、中身は玉石混交で、 大学時代のゼミの先輩(某大学准教授)の担当分は、 特に内容が薄かったような(辛口)。 たぶん、医学的な視点で、 これらの作品を紐解けば、 また違った発見があるのだろうが、 如何せん、文学畑の学者は、 ツマランですなぁ、、、 読めば分かることを、 もったいぶって語っているだけで、 まぁ、文 […]

「夢ノ代」(山片 蟠桃)

大坂の豪商だった山片蟠桃が、 1800年代の初頭から、 約20年かけて書き上げた大著。 いかにも商人らしい徹底した合理主義と、 江戸時代ど真ん中に、 ここまで先進的な見識を持った人がいたことに、 率直に驚かされる。 「天文第一」では、 地動説を紹介するだけではなく、 我々の太陽系は、 この宇宙にある無数の「太陽系」のひとつすぎない、 という論を、 既にこの時代において、 堂々と展開していることに、 […]

百人一首替へ歌(No.38)

第七十五番歌 【原歌】 契りおきしさせもが露を命にて あはれ今年の秋もいぬめり (藤原基俊) 【替へ歌】 また逢はむと契れる言葉を命にて あはれ今宵の月傾けり うーーむ、この原歌は、 説明するのもめんどくさい。 詳しくはググっていただければ終了なのだが、 敢えて意訳すると、 「あなたは私の息子を出世させてくれると約束したのに、 それも実現せずに、あぁ、今年の秋も過ぎてゆく…」 という、親(バカ)の […]

百人一首替へ歌(No.37)

ようやく4分の3まできたか…。 始めた当初は、 百首のパロディなんてあっという間、 と思っていたのだけれど、 意外としんどい。 というのも(言い訳だけれども)、 こうやって一首ずつじっくり取り組むと、 この百人一首というのは、 必ずしも「名歌」のアンソロジーではないのだな。 だからこそ、 なぜ定家がこれらの歌を選んだのか、 という、謎解きも諸説出てくるわけだけれども、 とにかく、百首は玉石混交で、 […]

百人一首替へ歌(No.36)

第七十一番歌 【原歌】 夕されば門田の稲葉おとづれて 蘆のまろ屋に秋風ぞ吹く (大納言経信) 【替へ歌】 夕されば庭の草葉のささめきて 訪ふ人もなし蘆のまろ屋に こんな拙い替へ歌であっても、 実は何度も推敲を重ねていて、 この歌は今までで一番多く、 11回のボツを経てようやく形となった。 (それでも褒められたものではないかもしれないが) というのも、 原歌にはあまりに隙きがなさすぎる。 秋風が稲葉 […]

百人一首替へ歌(No.35)

第六十九番歌 【原歌】 嵐吹く三室の山のもみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり (能因法師) 【替へ歌】 三室山風の行方を訪ぬれば 錦を纏ふ竜田川かな 業平による17番歌、 ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは を彷彿とさせる原歌であるが、 能因法師には、 もっと良い歌があるのだけれど、 なぜこれを定家は選んだのか、 理解に苦しむ。 紅葉を錦に見立てるのはもちろん、 「~は~だったよ […]

百人一首替へ歌(No.34)

第六十七番歌 【原歌】 春の夜の夢ばかりなる手枕に かひなく立たむ名こそをしけれ (周防内侍) 【替へ歌】 手枕のぬくもりばかりかひなくも 残るぞつらき春の夜の夢 原歌には、 ちょっとした物語風の背景があって、 作者(女性)が眠れないでいたところに、 プレイボーイが現れて、 「僕が手枕してあげるよ」 と言われたときの歌。 春の夜の夢のような手枕、 という前半はいかにも妖艶なのだけれど、 後半の、 […]

百人一首替へ歌(No.33)

第六十五番歌 【原歌】 恨みわび干さぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ (相模) 【替へ歌】 恨むとも止まる涙はなきものを 恋の噂に我が身朽ちなむ 原歌を意訳すると、 「あの人のことを恨んで私の涙は止まらないのに、 その上、恋の噂が立ってしまうことが、 残念で仕方がない」 という感じなのだが、 失恋の恨みと自尊心の間での、 当時のインテリ女性の苦悩が、 よく伝わってくる。 ただ一首の中 […]

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