古典

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百人一首替へ歌(No.30)

第五十九番歌 【原歌】 やすらはで寝なましものをさ夜更けて かたぶくまでの月を見しかな (赤染衛門) 【替へ歌】 寝ては覚め起きてはまどろみさ夜更けて 月の軌跡を辿りつるかな このあたり、女流歌人の作品が続く。 原歌の意味は、 あれこれ考えずに寝てしまえばよかったのに。 でもあの人のことを考えると、眠れずに、 気が付いたら夜も更けて、 月が沈もうとしているのを見ることになったよ。 という感じ。 月 […]

「史記6 列伝二」(司馬遷)

「列伝一」は、 諸国による打倒・秦における、 策略的な内容が多かったのに対し、 「列伝二」は、 項羽と高祖も登場するし、 まさに秦の崩壊という、 中国古代史のクライマックスを、 李斯や蒙恬といった人物の視点で描いているのが、 まるで小説を読んでいる感覚で楽しめる。 司馬遼太郎の『項羽と劉邦』を、 読んでみたくなった。 各話の最後には、 「太史公曰く~」という形で、 著者の司馬遷自身が、 感想を述べ […]

「称詞・枕詞・序詞の研究」(金子 武雄)

わが国における韻文の、 つまり文芸・文学の歴史を遡れば、 必ずこの、 「称詞・枕詞・序詞」の問題に直面する。 これらがどのようなものなのか、 そしてどのように生まれたのかを論じた書なのだが、 古い本(昭和52年初版)ということもあり、 残念ながら想定の範囲を超えた内容ではない。 というよりも、この分野の研究は、 下手すれば江戸時代から進歩がない。 畏れ多くも、 本書へ苦言を呈するところから始めるな […]

百人一首替へ歌(No.29)

第五十七番歌 【原歌】 めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に 雲隠れにし夜半の月影 (紫式部) 【替へ歌】 懐かしき友にすれ違ひ振り向けば ただ月影の夜半の街かな 原歌は、詞書により、 旧友との束の間の再会の名残惜しさ、 を詠んだものだと分かる。 まるで月が雲に隠れるかのような、 あっという間の再会だったと、 後半が前半の喩えになってはいるものの、 実景なのか比喩なのか、 どちらとも取れる絶妙な表 […]

「史記5 列伝一」(司馬遷)

岩波文庫版は完全収録ではないとのことで、 ちくま学芸文庫にて、 この偉大なる歴史書の全集を購入、 まずは後半4冊の列伝から読み始めることにした。 歴史書は、大きく分けると、 出来事を年代順に記述する「編年体」と、 人物の伝記によって記述する「紀伝体」に区分され、 後者はまさにこの『史記』が編み出した形式であり、 その「紀伝体」の中心をなすのが「列伝」である。 今更ここで言うまでもなく、 また当然原 […]

「柿本人麻呂論」(北山 茂夫)

後世、歌聖として崇められ、 伝説や逸話の類は数多くあれど、 官位の低さなどから、 存命時の記録には一切登場しない人麻呂について、 歴史学を専門とする著者が、 天武・持統朝のやや特殊な状況を踏まえつつ、 作品自体や先人たちの研究内容にも深く切り込んで、 この謎の詩人の実体と魅力に迫った論考である。 人麻呂といえば「挽歌詩人」というイメージが強いが、 著者は人麻呂の特徴は、 「相聞的挽歌」にあると断言 […]

百人一首替へ歌(No.28)

第五十五番歌 【原歌】 滝の音は絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ (大納言公任) 【替へ歌】 かの人の記憶は絶えて久しけれど 名こそ手元になほ残りけれ いきなりの言い訳にはなるが、 前回の更新から3週間以上も経ってしまった。 忙しかったことも事実だが、 今回の二首があまりに名歌であることと、 人麻呂についての評論を読んでいたこともあって、 こんなことをやっていて意味があるのか的な […]

百人一首替へ歌(No.27)

第五十三番歌 【原歌】 嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る (右大将道綱母) 【替へ歌】 久しきは秋の夜ならず嘆きつつ ひとり寝ゆゑと君やは知るらむ 二人で寝る夜はあっという間だけれども、 ひとり寝の夜は長いものだということを、 あなたは知らないでしょう、 という、『蜻蛉日記』の作者による原歌。 「かは」による反語表現を継承しつつ、 長いのは秋の夜長のためではなくて、 ひ […]

百人一首替へ歌(No.26)

第五十一番歌 【原歌】 かくとだにえやは伊吹のさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを (藤原実方朝臣) 【替へ歌】 春来ぬと誰か伊吹のさしも草 さしも知らずに心浮きつつ 原歌は、まるでパズルのように、 技巧を散りばめた秀歌。 「伊吹」に「言ふ」を掛けて、 「さしも草」から同音の「さしも」を導き、 「思ひ」の「ひ」は「火」にかけて、 「燃ゆる」の縁語となる。 さらに前半が序詞になっており、 この手の歌 […]

「古典対照語い表」(宮島 達夫)

「万葉集」「竹取物語」「伊勢物語」「古今和歌集」 「土佐日記」「後撰和歌集」「蜻蛉日記」「枕草子」 「源氏物語」「紫式部日記」「更級日記」「大鏡」 「方丈記」「徒然草」 のそれぞれの作品の中で、 どの単語が何回使われているかを、 一覧化した本。 中古から中世にかけての、 代表的な古典作品において、 ある単語がどれぐらい登場するのかを見ることで、 その単語の時代ごとの使用度合や、 また、作品内での単 […]

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