邦楽

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第25回 常磐津都喜蔵研究会(@紀尾井小ホール)

常磐津都㐂蔵さんが僕の父親の三味線の師匠だった縁もあり、 ほぼ初めて、常磐津をLiveでじっくりと鑑賞する機会となった。 演目は「仮名手本忠臣蔵」の九段目、いわゆる「雪転し」の段である。 自分がいま義太夫で稽古しているのが三段目の「刃傷の段」で、 そこで陰でちょこちょこと出てくる加古川本蔵が、 この九段目では主役となる。 主君への忠義と親子の愛情という、 浄瑠璃のお決まりといえばお決まりのパターン […]

「妹背山婦女庭訓」

国立劇場のあと、 竹本越京先生の「京の会」で「妹背山婦女庭訓」(金殿の段)を聴いた。 素浄瑠璃で聴くのは初めてだったのだけれど、 人物の動きが目の前に浮かぶようだというのは、このことだろう。 浄瑠璃の真髄といおうか、魅力をあらめて実感し、 劇的なストーリーとも相俟って、心底から感動した。 こんな方に毎週稽古していただいているのが、勿体ないやら、 上達しない自分が情けないやら。 場所は、住宅地にポツ […]

「邦楽名曲鑑賞会 道行四景」(@国立劇場小劇場)

日本という狭い国土の中で農耕民族であるということは、 これはもう、土地への束縛以外での何物でもなかった。 庶民も貴族も、「生活」することとは「定住」することであり、 生活する土地を離れるということは、異世界へと入っていくことと同義だった。 だから、「貴種流離」のようなキーワードを持ち出すまでもなく、 諸国転戦の日本武尊や義経が早くからヒーローたり得たわけだし、 「伊勢物語」や「源氏物語 明石巻」が […]

新内流し(@深川江戸資料館)

義太夫の稽古が終わって、猛暑の中、深川江戸資料館へ急行。 「蘭蝶」とか「明烏」は好きな曲なのに、 恥ずかしながら新内をLiveで聴くのはこれが初めてで、 また、新内の演奏はそんなに頻繁に行われるわけでもないため、 資料館の入場料だけで聴けたのは、非常にラッキーだった。 解説を交えながら、三回に分けて「日高川」の触り部分を演奏。 新内節独特の、あの高音が冴える語りと、上調子三味線が、 作品の内容とと […]

第67期義太夫教室

遂に、義太夫協会による、第67期義太夫教室が開講した。 夏までは入門コース、その後来年までが実践コース。 新内、宮薗など触れてみたいジャンルはあるが、 まずは一年間、義太夫節をみっちりやろうと思う。 自分はもちろん、三味線を弾きたいわけなのだけれど、 語りを知らなければ三味線は弾けません、ということで、 夏までは三味線の授業はなし。 毎週土曜日、一時間目が講義で二時間目が語りの実技。 語りは、「一 […]

「雨蕭蕭」(永井 荷風)

  10代の頃から、何度となく読んでいるこの作品を、 また読もうと思った理由は、 この小説とも随筆ともいえる作品の中での設定として、 主人公が三味線を、しかも宮薗節を弾く、というところに 魅かれたからだ。 宮薗節は、浄瑠璃ファミリーの中でも、レアな部類に属するもので、 そもそも数曲しか現存していない。 しかしその内容の濃密さというか、艶めかしさという点では、 新内節とともに、浄瑠璃内で一 […]

「新内の情景」(富士松 松栄太夫)

  浄瑠璃を楽しむには、江戸時代の文化・風俗はもちろん、 地理や歴史の知識があった方が、断然有利だ。 特に新内節は宮薗節などと同様、素浄瑠璃、 つまり視覚ではなく、耳だけを頼りに鑑賞するものであるから、 ある程度のコンテクストの理解は必須となる。 第一章の「隅田川と新内節」では、深川を中心とした風俗を語りつつ、 『明烏』や『蘭蝶』の舞台を辿る。 第二章の「幻の新内流し」では、 今となって […]

三味線の調律についてのメモ

先日、義太夫を聴きにいった際、相撲甚句の披露中に、 裏の楽屋から微かに三味線の音が聞こえてきた。 普段ならそのようなことはないのだが、小さな会場だったので、幸いにも?聞こえてきたのだろう。 甚句はそっちのけで、三味線の方に集中していると、音合わせの音を拾えた。 レ-ラ-レ(D-A-D) で調弦している。 僕が普段弾いている津軽は、本調子ならば、ド-ファ-ド(C-F-C)の調弦で、 これは「四本調子 […]

「日本の音」(小泉 文夫)

  小泉文夫さんの著作の魅力は、単なる音楽論に終始するのではなく、 更に深く、芸術論・文化論にまで敷衍できる内容をもっていることだと思う。 この本の中でも、西洋と東洋との比較、そして東洋の中の日本、 というトップダウン式の思考で、日本音楽の特徴を論じている。 われわれ現代人は、日本の古典音楽にどのように接するべきなのか、 について、深く考えさせてくれる。 これを読まずには、音楽のことなど […]

「稀曲の会 ―隠れた名曲の魅力―」(@国立劇場)

「稀曲」(ききょく)とは、演奏される機会が少ない、珍しい曲のこと。 なぜ演奏されないかについての理由は様々だろうが、大まかにいえば、 ・作品の出来栄えが悪い ・興行としての人気がない ・伝承者が少ない といったあたりだろうか。 特に三番目の「伝承者が少ない」というのは、日本の伝統音楽ではよく起こり得ることで、 楽譜が存在するならまだしも、楽譜すら存在せず消失してしまった楽曲は、数知れずあるだろう。 […]