小説

6/6ページ

「名短編ここにあり」(北村薫・宮部みゆき編)

先日、僕より先輩の方が、「何か小説を読んでみたいんだけれども、なにか良いものはないですか?」とたずねてくるので、「まずは短編なんてどうでしょう」と答えてみたら、「短編では読んだ気がしないのです」とのことで、成程そういう感じ方もあるもんだ、と酒の席ながら妙に記憶に残った。 そういう自分も、実は10代の頃に名作と呼ばれる小説を読み耽ったのをピークとして、最近ではごく稀にしか小説を読まない。 だから今回 […]

「小川未明童話集」(小川未明)

2009年の暮れは、この童話集をコートのポケットに忍ばせていた。 電車に乗って降りるまでの間に1話が読める。そしてどれもがあったかい。 宮沢賢治があれだけ評価されるのなら、小川未明はもっと評価されなければ、おかしいと思う。 いや、というよりも、(少なくとも)わが国では童話や民話に対する評価自体が、不当に低いのではないだろうか。 漱石や鴎外のようなカタクルシイ文学こそが高尚なのであって、人魚が出てき […]

「文鳥」(夏目漱石)

漱石の作品で何が一番好きですか? なんて質問をイマドキしてくる人はいないだろうけれども、 万が一そう聞かれたら、僕は「文鳥」と答える。 小説というよりも、随筆(エッセイ)と呼んだ方がよいのかもしれない。 特に何のあらすじがあるわけでもなく、漱石が鈴木三重吉から文鳥をもらって、それを飼って、その文鳥が死ぬまでの話である。 これはあくまでも僕の主観だが、夏目漱石という人は、教科書流に言うところの「日本 […]

「死の勝利」(ダヌンツィオ)

小説というものが極端に少ない僕の本棚の中で、貴重な作品。 森田草平の『煤煙』に影響を与えた作品として有名で、 コテコテの浪漫主義というか、ワーグナーの心酔者が小説を書けば、間違いなくこんなんになる、という見本のような作品。 経済的には何不自由なく、恋人にも恵まれている青年が、なぜか「死にたい」という願望にとらわれ、 最後は恋人とともに無理矢理心中してしまうというのがこの話。 もし同じテーマで小説を […]

「煤煙」(森田草平)

過去の小説家の知名度とは、文学史に残っているかどうかと同義である。 優れた作家・作品であっても、文学史に残らなければ評価はされない。 その逆もまた、然りである。 では、優れた作家・作品であっても文学史に残らないというのは、どのような場合だろうか。 森田草平の「煤煙」はまさにその典型的な例であって、 不倫・心中未遂、といった、明治の世の中にあっては破廉恥極まりない題材(しかも実話)をテーマにしている […]

「空海の風景」(司馬遼太郎)

大学に入ったぐらいから、小説というものを、ほとんど読まなくなった。 その理由については、ここでは関係ないので、深く触れない。 読むものとすれば、我が国では、夢野久作、稲垣足穂、澁澤龍彦、海外では、アポリネールやポオなど、 もっぱら幻想小説だけが、僕の小説的好奇心を満たしてくれていた。 だから、歴史小説なんて読むはずがない。 ましてや、司馬遼太郎なんて、本を手に取ったことすら、なかった。 別に司馬遼 […]

「贋救世主アンフィオン」(ギヨーム・アポリネール)

学生時代からアポリネールが大好きで、どうしても原文のまま読んでみたくて、 大学時代に第三外国語としてフランス語を習ったりしたのだけれども、結局、自己紹介すらできないレベルのまま挫折した。 まぁそんな皮肉も、アポリネール本人が聞いたら大喜びしそうだが。 「月の王」「オノレ・シュブラックの失踪」「アムステルダムの船員」・・・愛すべき短編はいくらでもあるのだけれども、 個人的にはこの「贋救世主アンフィオ […]

1 6